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チートを拒否した最強魔術士。転移先で無能扱いされるが最強なので何の問題もなかった  作者: やとぎ


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竜皇女と神は出逢った④

「おぉ!!レティシア無事でしたか!!」


 レティシアの姿を見たヴェルティアはブンブンと手を振りながら嬉しそうにかけてくる。


 ヴェルティアの速度が凄まじく背後に砂塵が舞う。砂塵の量が凄まじいから爆撃でもあったかと思われるほどだ。


 ヴェルティアはレティシアにそのまま抱きついた。


「びっくりしましたよ!! まさかレティシアがあそこまで本気にならねばならない相手がいるとは思いもしませんでした!! さぁ!! この頼れるレティシアの姉であるヴェルティアが相手です!!」


 ヴェルティアはレティシアを抱きしめながら周囲に視線を走らせた。


「むむっ!! あそこに斃れている者達が相手というわけですね!!」


 ヴェルティアが転がっている四つの死体に向けて右手をかざすと凄まじい魔力の奔流が放たれようとしていた。


「待たんか!!」


 放たれる寸前にシルヴィスがヴェルティアの頭を叩いた。決して本気で叩いたわけではなく音もパシリという感じの音である。


「な、何をするんです!! か弱い(・・・)レティシアがあそこまで本気にならなければならないほどの相手!! 姉として見過ごすわけにはいきません!!」

「だから、待てって!! どう考えてもあいつらは死んでるじゃないか」

「ふふん、何を言っているんです? 死んだふりしてるだけかもしれませんよ?」

「アホ!! 頭部がないのになんでまだ生きてるんだよ」

「頭部の残ってるものもありますよ?」

「お前の言ってる頭部の残ってるやつって胴が両断されたやつか? それとも頭を貫かれてるやつか?」

「ん? ……」


 シルヴィスの言葉を受けてヴェルティアは目をゴシゴシと擦ってもう一度四つの死体をみる。


「あれ? ひょっとして死んでます?」

「誰が見てもな」

「なるほど!!さすがはレティシアですね!! 厳しい戦いに勝利したというわけです!!」

「ビックリするくらい的外れだと思うぞ。なぁレティシア、お前が本気で戦っていたのは誰だ?」


 シルヴィスがレティシアに尋ねるとレティシアが口を開く。


「シュレンという神様でした」


 レティシアの告げた神の名にシルヴィスとヴェルティアは納得の表情を浮かべた。


「ああ、なるほど……シュレンと戦ったわけか」

「やはりシュレンさんでしたか!!いや〜私の読みは相変わらず鋭いですねぇ〜」

「お前、さりげなくなかった事にするなよ。あいつらを脅威と見て死体を消し飛ばそうとしたじゃないか」

「え?そう見えましたか? この私がそんなことをするわけないでしょう!! 本当にどうしちゃったんですかねぇ〜はっはっはっ!!」

「お前……」


 シルヴィスがヴェルティアの頬をいつも(・・・)のようにつねろうとした時にディアーネが声をかける。


「お二人とも……イチャつくのは後にしてもらっていいですか? まずはレティシア様のお話を聞きませんか?」

「そうだよ……二人とも仲睦まじいのはわかったからさ。まずはレティシア様からの情報を聞こうよ」


 次いでユリが声をかける。


 ディアーネとユリはわずかではあるが息が上がっている。


「二人ともどうしたの? 二人の息が上がるなんて珍しいわね」


 レティシアが首を傾げながら二人に尋ねると二人とも肩をすくめた。


「それが『レティシア様が危ない!!』と叫んだヴェルティア様がものすごいスピードで駆け出してしまって……」

「シルヴィス様も慌てて後を追ったんですが二人に私達が追いつけるわけもなく……かといって急がないわけにはいかないと無理をしました」


 二人の恨めしそうな声にレティシアはヴェルティアにジト〜とした視線を向けた。


「ん? どうしたんです?」


 涼しい表情を浮かべたヴェルティアはそう言って首を傾げた。


「お姉様、護衛の二人を置いて行ってどうするんですか?」

「ふふ、レティシアともあろう者が勘違いをしてますねぇ〜」

「勘違い……? あっ……そういうことですか。すみません。私としたことが……ディアーネ、ユリ……あなた達も気が利きませんね」


 レティシアはニヤリと笑ってディアーネ達二人に笑顔を向けた。


「え?」

「どういうことですか?」

「決まっているでしょう。お姉様はお義兄様と二人きりになるために二人を引き離したんです」

「ちょ、ちょっと待ってください!!」

「そんなわけないだろ!!」


 レティシアのとんでもない発言に驚いたのはヴェルティアとシルヴィスである。まさかここでレティシアがこのような発言をするとは完全に想定外であったのだ。

 もちろん、動揺した二人の抗議はサラリと無視された。


「なるほど……申し訳ございません」

「お嬢、シルヴィス様……申し訳ない」


 ディアーネとユリがレティシアの意図を察すると全力で乗っかってきた。


「二人とも何を謝ってるんですか!!」

「そうですよ!! 謝るのはヴェルティアの方であり、二人が謝ると妙な感じになるからやめていただけません?」

「お姉様、お義兄様、まずはディアーネとユリに事情を話しますので、お二人は少々あちらの方で逢瀬を楽しんでください」


 レティシアはニヤニヤしながら森の方を指差した。


こんな状況(・・・・・)でそんなことするわけないだろ!!」

「そうですよ!!」


 シルヴィスとヴェルティアは顔を真っ赤にしながら抗議の声を上げた。


(お義兄様、こんな状況ってそれは二人きりになりたい心情の暴露なんですけどね)


 レティシアは笑いを噛み殺しながらシルヴィスの咄嗟の反応を楽しんだ。ディアーネとユリだけでなくヴィリス達も同様にシルヴィスの心情を察したようで笑いを噛み殺していた。


「あれ?お姉様はイチャつきたくないんですか?」

「つきた……って何を言わせるんですか!!」


 口を滑らしかけたヴェルティアにレティシア達は惜しいという表情を浮かべるが、当然ながら口には出さない。


「さて、それでは一度魔都(エリュシュデン)へと戻りましょう。詳しい話はそこでします」


 レティシアはそういうとヴィリスに視線を向けた。ヴィリスはレティシアの意図を察したのだろう即座に転移魔術を展開した。


「お二人はどうします?」

「戻るに決まってるだろ!!」

「そ、そうですよ!!」

「了解しました」


 レティシアはニッコリと笑ってヴィリスに視線を向けると一向の姿が消えた。


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