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チートを拒否した最強魔術士。転移先で無能扱いされるが最強なので何の問題もなかった  作者: やとぎ


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エルガルド帝国動乱①

「こちらで休んでください」

「ありがとうございます」

「私は外に出ていますので何かあればそちらの呼び鈴を鳴らしてください。魔法具(マジックアイテム)ですので、私に音が響くようになってます」

「はい。わかりました」


 リューべはニコリと微笑むと用意された部屋を出ていった。


「……監視はないな」

「逆に言えば私達が逃げても何の問題もないということよね」

「ここに連れてきたリューべというあの少年はどう考えても俺達三人よりも遥かに強い」

「確か第二軍団長って話よね」

「魔族の中でもトップレベルなんだろうが……あのレベルが複数いると考えればエルガルド帝国の勝利なんて夢物語でしかないな」


 ヴィルガルドとエルナの会話をレンヤは深刻な表情を浮かべて聞いていた。


「どうすればいいんだ……」


 レンヤの声は沈んでいる。レンヤの言葉を聞いたヴィルガルドもエルナも同様に沈んだ雰囲気だ。

 エルガルド帝国から聞かされていた魔族と現実の魔族はかけ離れており、むしろエルガルド帝国が自分達を道具として扱っていた事の方が衝撃だったのだ。


「このまま、エルガルド帝国の道具として魔族と戦うことはできない……。だが、魔族の側に立ってエルガルド帝国と戦うなんて出来ない……」

「いっその事逃げてしまうか?」

「逃げる?」


 ヴィルガルドの提案にレンヤとエルナは考え込んだ。ヴィルガルドの提案は実のところレンヤもエルナも考えていた事であった。


「だってそうだろう。俺たちはこの世界の人間じゃない。シルヴィスほどの力があれば神と戦うという選択も取れるが俺達程度の力ではその選択肢は取れないだろ?」

「……ああ、確かに俺達では神と戦うなんて出来ないな」

「ええ、そうね……」

「となると逃げるか……」

「いや、逃げることは出来ない」


 レンヤの返答に対してヴィルガルドもエルナも驚いた表情は浮かべない。レンヤならばそういうと心のどこかで思っていたのである。


「俺は逃げるという選択が一番賢いし正しいということはわかってる。でも何もせずに逃げて魔族と人間が殺し合うのを見てるのは苦しむと思う」

「それは……」

「エルナもそう思ってるんじゃないか?」

「う……」

「ヴィルガルドはどうだ?」

「お前の言う通りだな。何もせずに逃げて何かできることがなかったかとグジグジと悩むのは性に合わん」

「そうね。私達人間は神や魔族のように長くは生きれない。逆に言えば誤りを挽回する機会が限られてるとも言えるわね」


 エルナの言葉にレンヤもヴィルガルドも頷く。エルナの言葉はストンと二人の心に落ちたのだ。


「そういえば誰かが言ってたな。“私が後悔してるのは失敗したことじゃなく、やらなかったこと”ってな」

「いい言葉ね」

「この選択は間違ってたと思うかもしれないけど、それでもやらないよりもまだマシだと思う」

「そうね。シルヴィスさんは決断(・・)したと言ったわね」

「ああ。決断ってすごいエネルギーを使うし、責任が生まれるけど、少なくとも決断しなかったという惨めな気分は味合わなくてすむよな」

「そうね」


 レンヤの言葉にエルナは静かに賛同する。


「それじゃあ。逃げると言うのは無しだ。じゃあ、どうする?」

「そうだな……魔族の側にもエルガルド帝国の側に立って戦うのはやらない」

「私も誰かの思惑で戦うのはゴメンね。戦うのなら自分の意志で戦いたいわ」

「なら……エルガルド帝国で魔族との戦いを回避することに尽力すると言うわけかな?」


 ヴィルガルドの提案にレンヤもエルナも静かに頷いた。二人の表情は決意に満ちたものであり、それが簡単なことでないことを理解しているし、場合によっては反逆者としてエルガルド帝国に処刑される可能性も考慮しているのだ。


「さて……俺達がやることは決まったな」

「うん」

「そうだな」


 三人は互いに頷くと先ほどリューべがつげた呼び鈴を鳴らした。


 リィィィン……


 澄んだ音色が発する。呼び鈴は決して大きい音ではなく通常であれば室外には聞こえないはずである。


 コンコン。


 しかし、呼び鈴を鳴らして一分ほどで扉がノックされた。


「どうぞ」


 レンヤの言葉を受けて扉が開けられ、リューべが姿を見せた。


「どうされました?」

「これからどうするか。結論が出ましたので魔王様へ取り次いでいただけますか?」

「承知いたしました。しばらくお待ちください」


 リューべは簡潔に返答すると扉を閉める。


 それから待つこと十分ほどで再びリューべが姿を見せて言う。


「お待たせいたしました。それではご案内いたします」


 リューべの言葉を受けて三人は立ち上がった。




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