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パラレル 狩られる ルルルルル〜  作者: だる飯あん
始まり
3/20

3. 洞窟 と 選択

─ここがどこなのか見当も想像もつかない


─どれだけ気を失っていたのかさえも分からない




目を覚ました俺は、見慣れぬ辺りを見回す様に首を振り、キョロキョロと目をせわしなく動かす。


腕にしている時計は、公園にいた時と同じ様な時刻を指している。


が、時計は止まっているのか、俺の腕で正常にカチカチと時を刻み続ける事はない。


と言う事は、俺はまだ気を失っているのか?


そんで、ここは夢の中と言う事なのか?


と、止まっている時計を視線の端に捉えながらその様な考えへと至り、古典的な方法で夢かどうかを確かめる為に自身の頬を思いっきり抓る。


「痛ぇ〜………」


動かない時計や見慣れぬ光景に夢だと信じ込み、思いっきり抓った自身の頬は、かなりの痛みを伴って、無防備な俺へと襲いかかって来た。


「地味に痛ぇぞ……」


痛みはあるが、目の前の光景の説明や想像がつかない。


冷たく青白く光を放つ壁や天井は、ゴツゴツとした岩の様なものでできており、まるで、どこかの洞窟や鍾乳洞を思わせる様な見た目である。


落ちて来たのか?


と上を見上げるも、天井にはソレらしい穴は一つも見当たらず、延々と俺の前へと向かって伸びている。


今いる場所は、幅は3m程、高さは倍の6m程はありそうで、閉鎖的な感覚を受けないくらいには少し広々としている。


閉鎖的な感覚を受けてない為、そこまで息苦しさを感じると言う事はないのだが、目の前の1本道の様に続いている先は、暗くなっていて先を見る事ができず、どこまで続いているのかさえも見当がつかない。


背後には行き止まりと言わんばかりの青白く光る壁、壁の反対はどこまで続いているのか分からない1本道。


格好はスーツ姿。


辺りを見回すも、先ほどまで持っていた仕事用の鞄もない。


何かを思いついたかの様に、無造作にポケットへと手を入れると、スラックスのポケットには先ほど拾った変なコイン、そして、ジャケットの内ポケットにはスマホと外ポケットには見慣れぬ黒い小箱のみと言う、ほぼ何もない状態。


内ポケットから取り出したスマホのアンテナを指す部分は圏外と言う表示になっており、時計と同じく時を刻む事はなかった為、再度内ポケットへと仕舞う。


次に、外ポケットに入っていた見慣れぬ小箱を手にとる。


「……なんだコレ……」


封を解いた箱の中には、スマートバンドの様な細めのリストバンドが入っており、なんなんだコレは?と小首を傾げながら、箱から取り出して手にしているリストバンドを眺めた。


「新たな健康器具か何かか? 俺、マジでこんなの持っていた覚えが全くないぞ……」


なんでこんな物がポケットに?そしてなんで俺はこんなところに?と考えている内に、公園で出会った自分そっくりのナニカの事を思い出す。


ソレを思い出した瞬間、ベットリと脳に焼き付いているかの様にソレの全貌が鮮明に思い出され、再度、全身の鳥肌がたった。


そして、ソレの声を聞いた瞬間に意識が飛んだと言う事を思い出す。


「一体、どうなってんだよ……」


自分の置かれた意味の分からない状況を打開する為に色々と考えを張り巡らすも、ソレと言ったソレらしい考えが思い浮かばない。


こうなったら、これは痛みのある夢だと思い先を進む事にするが、先ずはこの意味不明なリストバンドの確認が先だ。


箱の中に入っていたリストバンドは、樹脂やゴムみたいな素材の様にグニャグニャと伸び縮みし、中心には縦長の小さなディスプレイの様な物が嵌め込まれていた。


しかし、起動させる様なボタンが全く見当たらず、どうやって使うか等の説明書も同封されていない。


俺はどうしたものかと思いながらも、取り敢えず、時計をしている反対の自身の右手首へとソレを嵌めてみる。


「どうやって使うんだコレ?」




……ピピッ



─生体反応ヲ 検知─



ピピッ



─“オリジナル” “上代(かみしろ) 与一(よいち)”ノ 生体反応ヲ 確認─



ピピッ



─“上代 与一”ノ 本人確認 完了─



ピピッ



─“オリジナル”ノ 確認完了 ニ伴イ ”パラレル”ヲ サーチ─



ピピッ



─”パラレル”ノ サーチ 完了─




ピピッ



─”パラレル”ノ サーチ 完了 ニ伴イ ”プライベート システム”ヲ 設定─



ピピッ



─”プライベート システム”ノ 設定 完了─



ピピッ



─”プライベート システム”ノ 設定完了 ニ伴イ ”イクリプス”ヲ 起動─



ピピッ



─”イクリプス”ノ 起動 完了─



ピピッ



─”イクリプス”ノ 起動完了 ニ伴イ ”リソース”ヲ 凍結─



ピピッ



─”リソース”ノ 凍結 完了─



ピピッ



─”リソース”ノ 凍結完了 ニ伴イ 凍結サレタ ”リソース”ノ 利用方法ヲ オ選ビ クダサイ─





ブゥオーン






「は?」


俺の思考は完全にフリーズした。


腕に嵌めた瞬間、手首へと引っ付き、吸い込まれるかの様にタトゥーの様な模様へと変わったリストバンド。


からのいきなりの起動。


同時に頭の中から聞こえて来る様な、機械的な音声による一方的なアナウンス。


伝えても設定してもいない筈なのに、何故か自分の名前を呼ぶ音声。


そして──


リストバンドの青い小さな画面から空中へと投影されているホログラムの様な画像。


このリストバンドが動き出した数十秒間の出来事全てに対し、与一は全く理解が追いつけず、茫然と目の前の画像に記載がある文言を眺めていた。


与一の眼前に浮かぶ画像には──



──こう記載があった。








ニンゲンヤメマスカ? < Yes / No >











完全に意味が分からない。


目の前で何が起きているのか全く理解できない。


この意味の分からない自分が居る場所もそうだが、いきなり聞こえて来た声、いきなりホログラムの様に目の前へと現れた意味の分からない文言。


俺は、今の、全ての状況の意味が全く分からなくなった。




ここは一体どこなんだ?



これは一体なんなんだ?



これは本当に夢なのか?



この選択はどうすれば良いんだ?



この選択に正解はあるのか?



”Yes”を選択したらどうなるんだ?



”No”を選択したらどうなるんだ?



やり直しは効くのか?


…………


………


……




俺の頭には次から次へと疑問が浮かび上がり、自身でも気づかない内にハァハァと息を荒げて過呼吸気味になっていた。



ダメだ……


疑問ばかりが出て、全く何も思いつかない……



過呼吸気味になっている呼吸を落ち着ける為に、自身の頭へと浮かんできた疑問へと1つずつ考え、回答を探すも、全てが、「さぁ?」や「分からない」と言う回答しか出てこない。


しかも、不思議なことに、「もし」や「もしかして」と言った想像や発想が何故か全くできない。


とりあえず、ホログラムの様に浮かび上がっているイカれた選択は一旦無視することにし、この状況についての情報を少しでも得る為に通路の先へと進むことにする。


先へと進むにあたり、壁際に沿って歩くのは何かあった時に動きが狭められるのが怖い為、周りを見渡せられる様に、そしてゆっくりと自身の足元を確認しながらど真ん中を進む。


壁を背にして進みたい気持ちもあるが、変なスイッチを押す可能性もあるので、ど真ん中を進むことにした。


前へと進みながら、昨晩見たおかしな夢を思い出し、どうせこれも夢だろうと思いたい自身もいるが、驚くほど冴えている思考により、これは夢じゃないと言う自身もいる。


寧ろ、これを夢として思い込み、今の状況を楽しむ事を考えようとするも、露出している皮膚へと感じる、ピリピリとした何か、そして、目の前へと未だに浮かび上がり続けているホログラムの文言によって、今の状況を楽しむ事へとブレーキが掛かる。


要は、自身が置かれている状況が全く分からずに、収集がつかない状態になっているのである。


ビクビクしながら前方へと続く1本道を進んでいると、不意に開けた空間へと到着した。


20畳程はありそうな広々とした殺風景な空間は、壁に5つの大きな穴が開いており、どうやら、その穴の内、どちらかの穴を進まなければ先へは行けそうもなかった。


穴の横には、何かの石碑の様なモノが立っており、まるで、ルーン文字の様な象形文字の様なアラビア文字の様な俺には全く読めない文字がつらつらと書かれている。


石碑は5つの穴全ての横に立てられており、何度も全ての石碑の前を行ったり来たりしながら見比べてみると、共通した文字も見受けられるが、基本的に違う何かがそれぞれに書かれている様だった。


全く読めないし、どれが正しい道へと続いているのかも分からない。


とりあえず、自身の勘に頼り、一番左の穴へと向かうことにした。


一番左の穴へと足を踏み入れ、全身が開けた箇所から穴へと移動した瞬間、俺の背後へと壁が現れ、俺は完全に閉じ込められた。


「マジかよ……」


まるで、目が覚めた箇所にあった様な、背後は行き止まりですよ、と言わんばかりのいきなり現れた壁へと身体を反転させて触るも、動かせる様子もなくびくともせず、しかも隙間すら全くない状態だった。


本当にここで良かったのか?と軽く絶望すら感じている俺は、仕方なく先へと向けて歩を進めた。


暫く歩いていると、先ほどと同じ様に開けた場所へと到着した。


しかし、今回の開けた場所は、先ほどの開けた場所とは違い、壁に穴は開いていない。


その代わり、その事を忘れさせてしまう程に威圧感と重苦しい空気を纏った人型の何かが開けた場所の中央で佇んでいた。



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