《閑話》召喚者がリ○ルマック的なガン攻め軽量級キャラかと思っていたらコーチの方だった件について
予定を変更してこちらを先に投稿します。
10話を先に投稿しても良かったんだけど、何となーくこっちが先の方がいいかなーって思ったんだよ。
「ねえ、影太くん、私に何かして欲しい事ってありますか? 今なら何でも聞きますよ」
ある夜、明日に備えてさっさと寝る為に布団に潜っていると、急にリリーが不穏な質問を振ってくる。
「どうした、藪から棒に」
「いえ、影太くんをこっちに召喚してそろそろ一週間経つんですけど、今の生活に不満とかって無いかなーって思ったんですよね」
「お前が丁寧語で喋ってるって事は、ふざけて言ってるわけでは無いという事なんだろう。ならそうだな…」
「はい! 何なりとどうぞ!」
「俺の横で寝るのはやめてく___
「嫌です」
「即答!?」
この家での不満なんてそれぐらいしかないぞ!?
ふざけんなよおおぉぉ…。
「当たり前でしょう。寂しいですし、私だけベッドに寝るなんてそんな真似申し訳なくてとても出来ません」
真面目な口調から放たれた詐欺的発言に対し、ショックと憤りを覚えながらも平静を装い、リリーの寝巻きの襟を掴むと、ため息を交えながらも無言で部屋の外に放り出す。
そのままの勢いで、いつの間にか部屋に備え付けられていた棚や箱を用い、即席のバリケードを作り、ドアを閉鎖した。
「ちょっと! 開けてよ! なんで! 寂しいから一緒に過ごしたいだけなのに!!」
無視して寝ようにも、ドアの外でギャーギャー喚く物だから寝れたもんじゃない。
困ったやつだ。
『穢』の実験台にしてやろうかコイツ。
ネズミみたいだし案外適任かもな…。
「そもそもここ私の家だしいいじゃん! 好きにさせてよ!」
「ならせめて、俺の隣で寝るなら最低限の配慮をしてくれ」
「…具体的には何をすればいいの?」
「寝相の改善。寝てる最中に俺の腕に抱き付くのをやめろ」
「その前にドア開けてもらっていい?」
「…はぁ……」
仕方無しにその要求に応じ、バリケードを解体し、ドアを開けてやると、ムスッとした表情を浮かべたリリーが突っ立っている。
「あのな、お前の自業自得だからな?」
「分かってるけど無理矢理追い出すのは流石に酷いよ」
「…はぁぁ………」
「大体、初対面の時も酷かったと思うんだけど?」
「お前まだそれ根に持ってたのか?」
「そりゃ根に持つよ! まだ一週間とちょっとしか経ってないんだよ? 記憶にもまだ鮮明に残ってるし、しかも何気にあれトラウマになったんだから!!
どんな転移者さんが来てくれるかと思ったらさ、めぇっっっっっっちゃ怖い人来ちゃってもうどうしようも無くて___
「大変申し訳ございませんでした」
女は何かあるとすぐそれを根に持ち、終生に渡って意識し続け、トラブる度にそれを引き合いに出しては…みたいな事をしてくる生き物だ。
ここで謝ってしまった方が楽。
ジャパニーズ土下座。
「意外とあっさり謝ってくれるんだ…いや、正直な話、互いに混乱してたから仕方ないとは思ってし、土下座するのやめて?」
「おい謝った意味」
ツッコミを入れるもニコニコ笑っている。
言う程怒ってなかったのかよ。
嘆息すると、リリーの背中を軽く叩きながら、
「さあさ、話は終わりだ、とっとと帰ってくれ」
と言い、リリーを部屋の外に押し出してしまおうとするが、
「ここは私の家です!!!」
無駄足だった。
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暫くの軽い言い合いを経て、互いに落ち着く。
「結局のところ、何でお前は祭壇を蹴った時、あそこまで過剰に反応したんだ?」
「…それ聞いちゃう?」
一瞬リリーらしくない暗い顔を見せるが、躊躇いも無く、「気になるのでな」と言うと、リリーは徐に語り出す。
「嫌な事を思い出しちゃったんだ。
今はもう死んじゃってて会えないんだけど、私のお父さんが無理矢理私を監禁してまでお勉強させてきて……。
その…私の家の家系は代々長子が司祭のお仕事を継ぐんだけど、私以外の兄弟…四人いたけど…みんな病気で死んじゃって……ぐずっ……」
急に泣き出してしまった。どうせこうなるなら聞かなけりゃ良かった。
「悪かった、無理に話さなくて大丈夫だ」
「い、いえ…続けさせてください…」
「は、はあ」
いや、もういいめんどくさいから寝てくれ。そんな重たい理由があるとは思って無かったんだ。あー、もう…でもそうか、最初に聞いたのは俺だ。
受け入れるしかないか、くそぅ…。
「…それで…お父さんも焦ってたのかな…私を無理矢理監禁して、司祭としての作法とか、教養を叩き込まれて……物に当たる形で………。
私、覚えが悪かったから…そのせいで怖くてご飯もろくに食べられなくて、成長も止まって…こんなちっちゃい体のまま16歳の誕生日を迎えるなんて思いもしなかったよ……」
いや待て待て待て待て軽い気持ちで子供扱いしてたけどそれにまつわるエピソード存外重くないか!?
ヘビー過ぎるぞお前…。
ただのクソガキかと思ってたら重過ぎるだろ過去ぉ…。
「友達にも会えなくなっちゃったんだよね…監禁されたせいで…だからこの間、ジョイちゃんと会った時なんか私泣きそうになっちゃって…」
「な、なるほどな…」
「影太くん、今日だけは腕を抱きながら寝てもいいですか? 私、死んでしまったお兄ちゃんにもそうして寝てたんです…」
丁寧語リリー再び。
まあ、仕方ないか。流れを作ったのは俺だし。
「今日だけだぞ」
「……そこは『毎日でもいいぞ』とか言ってくださいよ…影太くんらしいっちゃらしいですけど……ふふ……」
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さて、あれから三時間ほど経ったが……。
寝れんわいバカタレ!!!
前回よりも強く腕を絞められている。
こればっかりは自業自得な気もするが、鬱陶しい事には変わりない。
体も擦り付けられ、何かが奇妙な感覚になった。
何とは言わないけど。
いや、ロリコンじゃないからな!?
結局最終的に、その腕を無理矢理剥がし、リビングのソファーで寝た。
翌日、喧嘩になった事は言う間でも無い。
タイトルのネタが分からないだぁ?
解説します。
コーチは元ヘビー級チャンピオン。
んで、リリーは過去がヘビー。
そういう事です。
すみません分かりにくかったですよねしかも下手くそですしね首括ってブランコして詫びるから許して。