七話
「全くお前らは…何度注意されれば気が済むんだ!」
露出狂の件があった次の日の放課後、俺は説教を受けていた。
何故俺が怒られているのだろう?これはこの学校の七不思議の一つだと思っている。
目の前にいるクイ研の顧問、和泉リナは眉間にしわを寄せて、その美貌に似つかわしくない険しい顔をしている。あーあーそんな顔してたらせっかくの美人が台無しですよ?
「おい!今何か失礼なこと言ったか?」
「いえいえ!何も…」
あれ?漏れてました?
クイ研絡みで俺が怒られるのは毎度のこと。和泉先生曰く、「まともなのはお前だけだから」らしいのだが、それにしても理不尽過ぎませんか?
「いい加減私の身にもなってくれ…。クイ研のせいで肩身の狭い思いをしているんだよ」
「それは俺じゃなくて部長に…」
「あん?!」
「いえ!問題を起こさないように努めてまいります!」
昨日の件については悪いことはしていないのだが、クイ研には前科がありすぎるために今回も良い目では見られていないようだ。
和泉先生の説教はその後も続き、最後の方はただただ愚痴を聞く係と化していた。小一時間経ってからようやく解放されたので部室に向かう。ガラガラと扉を開けた向こうにはいつもの風景があった。
「あ!タクトせんぱーい!遅かったじゃないですかぁ。サボりですか?」
「タクト君がいないから寂しかったよ」
「お前ら…お前らが怒られないのも誰のおかげだと…」
「タクト」
「へ?…何か怒ってます?昨日のことですか?そんな無茶苦茶な…昨日のは俺は悪くないですよね?というか部長は?」
部室に部長が見当たらないと思ったら背後から「諸君!」と部長の声がした。振り返るとちょうど部室に入って来ているところだった。その顔はまた良からぬことを企んでいるような…。
「ちょっといいか?今度はひったくりが現れたらしい」
「ちょ、はえーよ!露出狂の次はひったくり?昨日の今日で警察案件は勘弁してくださいよ!というか今後はおとなしくしてください!これは和泉先生の―――」
「案ずるな。場所はもう割れている。その場所とは日田栗町だ」
何だそのひったくりしか住んでないような町は。
「案じてないし、そういう問題じゃないし」
「何だ太刀川、また楯突くのか?よかろう。今日は柾木、いつもの頼む」
あーまた始まったー!俺がしたいのはこういうクイズじゃなくて…。
いつもの、風景。各々好きなことをやって、だらだら過ごす部員たち。活動するかと思えばクイ研からかけ離れた内容。
募る不満はあるものの、居心地が良いと感じている自分もいる。本当に困ったものだ。俺の思うクイ研として活動できるのはいつになることやら。
今日も天越高校クイズ研究部の通常通り活動中である。
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