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Code:Arcadia  作者: 星霜
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第4話 準備、多難

サブタイトルが浮かばないんじゃ...

うん、知ってた。期待はしてなかったとも。残念ながら朝起きたら元に戻っていた。なんてことは無かった。今は7月14日の午前10時。夏休みということもあり、遅めの起床である。いつまでも体操着でいるのは落ち着かないし、外出する予定もないので着替えることにする。中学校の部活で使用していた伸縮性に富んだ素材で出来ているシンプルなデザインのシャツとズボンだ。サービス開始までまだ3時間程度の余裕がある。普通のオンラインゲームであれば、キャラクタークリエイトだけなら事前に出来ることも多いが、《Code:Arcadia》の運営曰く『当初はキャラクタークリエイト版の配信予定もあったが、データの解析などによって内容がリークされるのは好ましくない』という方針のもと後日配信予定らしい。ユーザーの関心が非常に高いのも協力し、サービスが始まれば自分のゲームプレイを犠牲にしてまで野暮なことをする人間は極小数だという判断だそうだ。なお、技術盗難防止のため過剰ともいえるほどのデータプロテクトが施されていたのを付け加えておく。


そんなわけで今の僕には待つことしかできない。サービス開始が午後1時なので昼飯を済ませてからということになる。ログイン時間が長くなることを見越して夕食も一緒に作ってしまうのが最善だろう。昨日買い込んだ食品から適当に献立を考えて、パスタに決めた。台所に移動し、以前から愛用しているエプロンを着る。

食材を用意して調理を始めようとしたところで、白い長髪が目に入った。火を扱うのに長い髪の毛は邪魔になるだろう。いっその事切ってしまおうかと考えるが、母親と姉が『髪は女の命』などと言っていたのを思い出し、踏みとどまる。それに、せっかく綺麗な髪なんだからばっさり切ってしまうのも勿体ない気もする。まぁ、元男なんだけど...。

とりあえず料理の邪魔になる髪の毛をどうにかしなければいけない。髪を伸ばしてた姉がゴムを使って後ろで束ねていたのを思い出したので、ゴムを探してみるが見つからないので輪ゴムで代用する。適当なところで髪を纏めて輪ゴムに通してみるが、髪質が細くてサラサラなせいか中々上手くいかない。しかし、何度か繰り返す内に段々と慣れてきてどうにか結ぶことに成功した。なにはともあれ料理再開である。

鍋に水を入れて、IHヒーターの上に移動させる。身長の関係上再び踏み台君に登場してもらった。もうこいつ無しでは生きられない身体に...。


「うっ...重っ...!」


例によって大した量でもないのにずしりと重量を感じる。コンロの電源をいれて適当に塩を放りこむと、水が沸騰するまでの間に他の材料の準備にかかる。にんにくを二つに割り、そのうちの一つを薄くスライスする。フライパンに油を少量注いで傾ける。充分温まったのを確認してそこに先程のニンニクを入れ、次いで乾燥唐辛子を追加する。パスタを茹でる鍋から少しお湯を拝借し、フライパンを揺り動かして醤油を垂らして少し放置。その間にパスタを二人前掴み取り鍋に入れる。再びフライパンを手に取り焦げないように再び揺らし、少ししたところでIHを止めた。茹で終わったパスタの水気を切り、フライパンに投入して麺とよく絡むように混ぜて胡椒を振る。


これにて完成である。男にしては中々な手際ではないだろうか?ちなみに作っていたのはもうお分かりだろうがペペロンチーノだ。皿に半分程度盛り、リビングへと戻る。


「いただきます」


毎度の如くしっかりと食前の挨拶は欠かさない。スパイスの効いた良い香りが鼻腔をくすぐり、食欲が増してくる。僕は辛党ではないが、辛いものは好きなほうだ。そうでもなければ少し手間のかかるペペロンチーノなんてわざわざ作らない。未だ湯気の沸き立つ麺を、少し行儀悪いが思い切り啜る。啜る...のだがおかしい。


「辛っ!?」


いくらなんでも辛い。辛すぎるのだ。まさか分量を間違えたのだろうか?いや、作り慣れたレシピを間違える訳がない。慌てて水道から水を調達し、コップ一杯分を飲み干す。助かった...。これはもしかしなくとも身体の変化の影響だろう。見かけ年齢小学校中学年程度の子供の舌には少しばかり刺激が強すぎたようだった。どうしよう...完食できる気がしない...。しかし、食べ残すという行為は我が家ではご法度だ。父親曰く『戦時中は食糧が無かった』と曽祖父からキツく詰められたそうだ。こうして、僕と皿に盛り付けられた料理との戦いが始まったのだった。

読んでいただけて嬉しいです。

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