第3話 調整完了、逃避
今日はここまでの予定です。
気がついたら眠ってしまっていたようだった。それにしても泣き疲れて寝てしまうなんて、
「これじゃあ本当の子供みたいじゃないか...」
そう自分に突っ込んでおく。先程まで夕日が差していたのに、外はもう暗くなっていた。数時間寝てしまったことになる。そんなことを考えていると、お腹がくぅと抗議の音を出した。そういえば朝から何も食べていなかったのを思い出す。今日は料理をする気分ではないので買ってきたものを食べることにした。キッチンにある棚のパンを詰め込んだ引き出しを開けようとするも、背が低いゆえにギリギリ手が届かない。
「むぅ…」
思わず不満の声を漏らす。どんなに頑張っても届かないものは仕方がない。先程も使った踏み台に再度ご登場願うことにした。数あるパンの中からコッペパンとメロンパンを選出し、隣にある冷蔵庫から飲み物として牛乳を取り出そうとする。いつものように片手で牛乳パックを引き抜くと、重量に耐えきれずたたらを踏む。この身体は思ってたよりも非力なようだった。パンは両脇に挟み、牛乳は両手でしっかりとホールドする。牛乳とパンをリビングのテーブルに載せ、席に着く。この身体では食事の準備でさえ一苦労だ。
「いただきます」
しっかりと食前の挨拶を済ませ、食事を始める。コップに牛乳を注ぎ、コッペパンに大口開けてかぶりつく。何度か咀嚼してから牛乳で飲み込む。コッペには小さな歯型が付いたもののあまり体積はあまり減っていない。いつもなら5・6口で食べきれてしまう程度の大きさだったが、今は随分と大きく感じる。
「ごちそうさまでした」
いつもの倍近い時間をかけてどうにか完食した。メロンパンも食べるつもりだったが、身体が縮んだ影響かもう満腹だ。食費が少なくて済むのはいいことかもしれない。なんて馬鹿みたいなことを考えて今日はもう眠ることにした。明日からは晴れてファンタジー世界の住人なのだ。不安なこともあるがとりあえずは時間が解決してくれることを祈って、ゲームを楽しむとしよう。歯磨きをしてベッドに入ると睡魔はすぐに襲ってきた。今日一日で色々ありすぎた。なんて感想を抱きながらキングサイズ級に広くなったベッドで眠りに着いたのだった。
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