表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

名声と堕落3


「うふ♡あなたは素敵な神父様でしょ。私はそういう真面目な人がだぁーい好きなの♡それにあなたいい男だし」

藤堂ミリアは微笑む。

「お前は誰だ?君は死んだはずだ」

そう見たこともないと思っていた藤堂ミリアと名乗った金髪の少女の顔は、あのヨハンが悪魔祓いで死んだはずの少女とうり二つだ。黒髪のはずのあの少女とは違い、金髪だ。

「この悪魔め」

ヨハン神父は首にかけた十字架を、ミリアに向かって掲げる。

するとミリアはくすくす笑う。

「ひどいわねぇ、ミリアは天使なのかもしれないのよ。何故悪魔だと決めつけるの?」

ヨハンは怯え、少女をにらみつける。

そこでヨハンの心に、目の前の少女は天使かもしれないという気持ちがこみあげる。邪悪なものだと心の底ではわかっているのに、自分は神に愛され神を敬ってきた。

自分が少女を殺すなんて失敗をするはずがないのだ。あの少女は死んで天使になり、自分の前に現れたのだと、ヨハンは想う。

 

 少女はそんなヨハンの心を読み、ほくそ笑む。

少女の形は無現像だ。相手の望むもの何でもなることができる。

ミリアという名前の存在は、ヨハンに向かって両手を広げる。


「おお、神よ」

そう呟き少女のもとでヨハンはひざまずく。

少女は微笑んで、ヨハンの頬をなでる。


「ヨハン、あなたはこれからも人々のために働かなければならないのよ」

「はい。私はいつでも神の見心のままに」


少女はヨハンの影を見て、自分の影がないことにため息をつく。

早く自分の影を見つけないとね。

影がないとこの世にいることはできないのだ。

少女はヨハンを抱きしめた。

「いい子ね」

ヨハンの体がびくりと震え、熱い息を吐くのを感じ、ミリアは笑みを深くした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ