名声と堕落3
「うふ♡あなたは素敵な神父様でしょ。私はそういう真面目な人がだぁーい好きなの♡それにあなたいい男だし」
藤堂ミリアは微笑む。
「お前は誰だ?君は死んだはずだ」
そう見たこともないと思っていた藤堂ミリアと名乗った金髪の少女の顔は、あのヨハンが悪魔祓いで死んだはずの少女とうり二つだ。黒髪のはずのあの少女とは違い、金髪だ。
「この悪魔め」
ヨハン神父は首にかけた十字架を、ミリアに向かって掲げる。
するとミリアはくすくす笑う。
「ひどいわねぇ、ミリアは天使なのかもしれないのよ。何故悪魔だと決めつけるの?」
ヨハンは怯え、少女をにらみつける。
そこでヨハンの心に、目の前の少女は天使かもしれないという気持ちがこみあげる。邪悪なものだと心の底ではわかっているのに、自分は神に愛され神を敬ってきた。
自分が少女を殺すなんて失敗をするはずがないのだ。あの少女は死んで天使になり、自分の前に現れたのだと、ヨハンは想う。
少女はそんなヨハンの心を読み、ほくそ笑む。
少女の形は無現像だ。相手の望むもの何でもなることができる。
ミリアという名前の存在は、ヨハンに向かって両手を広げる。
「おお、神よ」
そう呟き少女のもとでヨハンはひざまずく。
少女は微笑んで、ヨハンの頬をなでる。
「ヨハン、あなたはこれからも人々のために働かなければならないのよ」
「はい。私はいつでも神の見心のままに」
少女はヨハンの影を見て、自分の影がないことにため息をつく。
早く自分の影を見つけないとね。
影がないとこの世にいることはできないのだ。
少女はヨハンを抱きしめた。
「いい子ね」
ヨハンの体がびくりと震え、熱い息を吐くのを感じ、ミリアは笑みを深くした。