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名声と堕落

 満が拾った少年の高志は、窓の外を見ている。その表情は幼い子供とは思えない大人びた表情である。満はパンケーキを焼きながら、そんな様子を見ている。


満の体は最近調子が悪い。めまいが激しくする。だが、病院に行こうとはなんだか思えず、ただ家で高志とぼんやり過ごしていた。


テレビでは先日悪魔祓いに加担し、少女を死なせた母親と神父が警察に任意同行されたとニュースでやっていた。


その神父には満は見覚えがあった。満の家の近くの教会の神父である。ハンサムで金髪の優しそうな神父で、たいそう人気があった神父である。


「残念ね。教会に行く前に病院にでも行けてたらいいのに」


そうつぶやく満に、高志は顔を向けた。


そのニュースの次のニュースには、死んだはずの少女が生き返ったことも報道されていた。



神父をあざわらう人々の声がする。

ヨハンは少女を死なせた罪を着せられて、教会からもヨハンへの非難の声は強い。なんらかの責任を負わされそうになっている。


ヨハンはただ少女を救いたかっただけだ。少女が病だったなど、だれが気付くであろうか?

ヨハンはただ神に祈る。


ヨハンの教会の外から激しい物音がする。見ると、教会の外壁には誰かが投げたとされる割れた生卵がべったりとびりついていた。ヨハンは教会の窓のカーテンを閉めて、神に祈る。


「神よ、私をお救いください」


「素敵ね。あなたの神様」


突然聞こえてきた少女の声に、神父は目を見開き顔を上げる。教会のカギは締まり、誰も入ってこれないはずなのに、そこには少女が立っていた。


美しい少女だ。少女はヨハンに微笑んだ。


「あなたの祈りのおかげで、わたくしは生き返ったのよ。あなたは神の代弁者なの。あなたを断罪しようとするすべてから、わたくしはあなたを守ってあげる」


にこっと、少女は笑う。


「あ、あなたは」


「藤堂ミリア。神様のおかげで生き返ったの」

そう少女は言ったのだった。


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