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プロローグ
ここは楽園だ。なに不自由もない。死もない。誰しも幸福に溢れている。そんな中、一人の影があった。誰しも幸運で、不自由もないのに、その影はいつも渇き喘いでいる。苦しくてたまらない影は、神に問いかける。
「何故皆輝いているのに、自分は闇そのものなのか?」
必死に神は問いかけるが、神は無言で何も答えない。そう影を楽園の皆見ることはできないのだ。その代り影はあらゆる形になれた。
あるとき蛇がそそのかし、二人のつがいの人間という形の生き物に、禁断の果実をたべさせた。二人の人間は楽園を去っていく。影はなぜかその時形を表し、光り輝く神に、「悪魔」と名前を授けられた。悪魔と呼ばれた影はなぜか楽園をいられなくなり、あらゆるものの影という存在になった。