料理の天災の片鱗
~翌朝・ギルド~
サ「・・・おっ、やっと来たか」
マ「おはよー。荷物は持ってきたよー」
キズナとマホがギルドに着く頃には、アキトもサトルもテーブルで待ちくたびれて、ぐてっとしていた。何故かというと。
ア「遅ぇよ。もう昼近いぞ。理由を聞かせてもらおうか」
キ「ハイ。保存食の調理に手間取っておりました。遅れてすみませんでした(棒)」
サ「・・・え?保存食?作ったの?どうやって・・・」
キ「うん。これを見てくれれば分かると思うけど」
キズナの両腕には、確かにお弁当のようなものが小分けにされて抱えられていた。この世界で保存食といえば、例としては肉を干すなど加工して、保存が利くようにした簡易的なものでしかない、けっして「料理」とは呼べないものだ。
キ「前にアキトに『中に入れた物の時間が止まる、タイムカプセルみたいな箱』って錬金術でたくさん作ってもらったんだよ。それに料理を入れたら保存ができるんじゃないか、って昨日考えたのですよ」
マ「それで、キズナに料理を頼まれた。最初はめんどいから断ったんだけど、キズナの料理が・・・ちょっと・・・ね?こう・・・壊滅的で」
話によると、キズナの調理で出来上がったものは見た目は普通においしそうだったのだが、味と匂いは万人に等しく吐き気を催させるという劇物だったとか。二人は劇物の処理に奔走し、調理はマホが引き受け・・・
キ「今に至ります。いやーホント助かったよー!マホの料理まともなんだもん!」
ア「・・・・・・分かったもういい。『空間接続』」
ちゃんと料理を練習することを心に誓いつつ、アキトの開けた穴に弁当や衣服、ポーションなどを放り込んでいく。どれも旅や戦争に不可欠なものだし忘れたら困るからね!あれ?なんだか心の重いものががとれない・・・。地味にショックを受けているキズナを横に、サトルが最後の荷物を投げ込み、アキトが穴を閉じていく。
サ「そういやお前エムトピアに来たことないよな?お前の転移門場所を見たこと無いと使えなかったよな?」
ア「魔力は戦闘前は温存しておきたいし、キズナの竜に全員乗っければ良いだろ。移動がてら偵察も出来る」
キ「そりゃまあ良いけど。・・・あっ、マホー。どこ行ってたの?情報収集?」
話していた間、少し姿を消していたマホがなにやら地図っぽい巻物を持って小走り気味に戻ってくる。
マ「そうだよー。でな!戦闘が起きてる場所とか敵の情報がリアルタイムで分かる地図もらってきた!」
サ「はあ!?それかなり凄い魔道具じゃね?俺らがA級だとしてももったいねえだろ?いいのかそんなもん」
ア「いやこれは・・・」
そう言いながらアキトが試しに起動してみる。光と共に、地図の位置を中心とした地図が描き出され、自分の位置や周りの生物などが表示される。表示される、のだが・・・
ア「戦場では目視のほうが良いな、これは」
キ「確かにリアルタイムだけど、動作が重過ぎるね。探知には向いてない」
サ「でもさ、アキトが魔改造すれば使えんじゃね?」
ア「・・・術式がおかしいだけだろうし、生物の反応を探知しないように術式を書き換えれば改善すると思うけど。つかちょっと弄ってくる」
キ「あっ・・・リリィちゃん準備して待ってるからねー?」
ア「・・・・・・(無)」
数分後。ギルドの外に待っているデカイ白ドラゴンに周囲が釘付けになっているころ。
ア「っしゃ終わったぞー。地図と4人の位置だけ表示できるようにしてみた」
マ「お疲れ。作業早いな相変わらず」
キ「早く乗ってよー。周りの目がウザいよ」
ア「はいはい」
3人を乗せたリリィに、アキトがひらっと飛び乗る。キズナはそれを確認すると、愛竜に指示を出す。
キ「じゃあ、地図のこの辺にとんでくれないかな?」
リ「きゅーーー」
4人(+1匹)は、エムトピアに向けてよく晴れた青空の中へ飛び立っていった。
作「やっと二話書き終わったー」
キ「早く戦いたいんだけど?早く書いてくれないかね第三話」
作「・・・努力する善処する前向きに検討する」
キ「おいっ!!!」