襲撃
今回フルに戦闘ですが、結局グダグダな気がします。
魔法が使えるようになっても特に何も変わらないマナイ村での生活だったが、この日は違った。
日暮れ間近に突然魔物の群れが襲って来たのだ。
アランと俺は急いで村人に逃げるように指示し、槍を構える。
普段一緒に行動することの無いはずのゴブリン、ウォーリアウルフが混じった群れは、俺達に狙いを定めたようだ。
(こりゃ団体さんのお出ましだな。アラン、いけるか?)
「魔物の様子が異常なのは間違いないが、俺達がやるしかないだろ。トキヒコ、来るぞ!」
「グルルゥ」「ガゥアァ」と威嚇の唸り声を上げていたウォーリアウルフが飛びかかって来た。同時に右側から回り込むように一匹が走り、背後を狙う作戦のようだ。
それに対してアランは間合いを詰めて来る正面の敵を無視して、右側を走っていた一匹に向かう。
これには驚いたのか足を止め身構えようとするが、遅い。
アランの槍がウォーリアウルフの体を貫き、一撃で戦闘不能にした時、無視していた一匹が背後から飛びかかる。
(吹き抜ける一陣の風よ、我が刃となりて敵を斬れ、風塵剣)
後ろを見る事も無く発動した俺の魔法は飛びかかって来たウォーリアウルフを斬り落とした。
(やっぱり鍛錬中に槍と魔法のコンビネーションをしといて正解だったな。)
「あぁ、そうだな。上手くいってよかった」
アランと俺は残りの魔物に向き合い、槍を構える。
確認できた残りの魔物はウォーリアウルフが一体とゴブリン四体だ。
リーダー格なのか、一回り大きな一匹のウォーリアウルフは怒りに毛を逆立て、マナを集めだした。
(おい、アラン!アイツは魔物なのに魔法が使えるのか?)
「……かなりの上位種は使えるだろうが、こんな所にそんなのが居るわけない」
アランと俺が話し合っている間にもウォーリアウルフの剥き出した牙の間から炎が覗く。
(チッ、ぶっつけ本番か……高き空より集いし光よ、魔を防ぐ盾となりて我を護れ……光魔結界!)
威力のわからない攻撃に俺は大量のマナを集め、かなりの広範囲に魔法の結界を張る。展開と同時にウォーリアウルフの口から炎の塊が飛び、結界に当たって爆ぜた。
激しく燃える炎の熱で肌がヒリヒリするほどなので、かなりのマナを収束しているようだ。
(広範囲の結界にして正解だったな……っ、アラン、避けろ!)
「なっ?!ぐぅっ」
ギリギリで体を逸らしたが、アランの左手から鮮血が舞う。
魔法の爆炎に紛れて奇襲してきたゴブリンのナイフがアランの二の腕を裂いていた。
痛みに顔を歪めながらもアランは槍を振り、ゴブリンの首を薙いだ。
(痛っ…アラン、大丈夫か?)
「な、何とかな………しかし、ちょっとヤバいな………」
ゴブリンに連携攻撃をするほどの知能は無く、ましてや結界に物理防御が無いなどわかるはずもない。
有り得ないことばかりが起きる戦闘にアランも俺も対応しきれていない。
(とりあえず止血が必要だな……生命の源なる水よ、傷付きし者を癒やせ……水癒法)
青い光が左手の傷に集まり、血の流れ出している傷口を塞いでいく。
「トキヒコ、お前どれだけの魔法が使えるんだよ……魔物よりお前の方に驚かされるな」
(そんな話は後だ!魔物は?)
結界を解き、ウォーリアウルフの放った魔法の炎も消えた先には三体のゴブリンが見えた。
一体のゴブリンが合図のように鳴き、持っていたナイフをこちらに投げる。同時に二体のゴブリンがバタバタと走り、間合いを詰めてきた。
辺りは薄暗くなってきたので、放たれたナイフを見切るのは難しい。
アランは大きく右にステップしてナイフを避け、突っ込んできたゴブリンのナイフを槍で受ける。
押し返して間合いを作ろうとした瞬間を狙って、もう一体が懐を狙ってきた。
(広き大地より生まれし煌めきよ、我が盾となりて身を護れ……煌石盾)
ガッ…キィィィンッ
腹に向かって突き出されたゴブリンのナイフは、俺の作った鉱石の盾に当たり、根元から折れた。
すかさず放ったアランの蹴りはゴブリンの側頭部に直撃し、泳いだ体に槍を叩き込んでトドメを刺す。
(燃え盛る紅蓮の炎よ、矢となりて敵を撃て……紅炎矢!)
残り二体のゴブリンに戦う力は残ってなかったようだが、魔物を逃がす訳にはいかない。俺は炎の矢を打ち出し、まとめて戦闘不能にした。
「はぁ、はぁ……ふぅ……何とか……片付いたか……くっ、う…」
(魔法の…連続発動なんて…無茶してすまない、アラン……耐えられそうか?)
「さすがに……ちょっと、キツいな………トキヒコも限界か?」
(あぁ…俺もキツいわ……でもまだ………アラン、あのウォーリアウルフはどこだ?)
二人とも限界が近く、身体を動かすのもキツいが、辺りを見回して相手をした記憶の無い最後の敵を探す。
「……いない?」
(………ゴブリンを囮に退いたのか?アランはどう思う?)
「………わからん。しかし、魔法を使うウォーリアウルフに人間並みの連携攻撃をする知能のあるゴブリンなど見たことも聞いたことも無い……それに、正直言って戦う力が残ってないから助かった」
しばらく警戒したが、俺達は危機は去ったと判断した。もう暗くなってきたこともあり、足元のおぼつかないアランはよろめきながらもステラの家に向かって歩を進める。
パチパチパチパチッ
「いやぁー、適当に見つけた雑魚とはいえ、私の弄ったオモチャを全て倒すとは、なかなかやるねぇ。しかも、あれだけの天魔術を使えるとは驚きだ」
いきなりの拍手と声にアランと俺は疲れた身体に鞭打って槍を構え、周囲を警戒する。
「ここだよ、こぉこっ」
見上げた屋根の上に、月を背にした人影があった……………
人物名も呪文もなかなか考えがまとまらない……戦闘シーンも動きのイメージを文字にするのは大変ですが、ダメ出しとか多いと思います。