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不便


私のことをにらんでいる人は、考える素振りを見せています。

でも、顔は無表情のままなので素振りでだけこの人が何を考えているのかわかる状態。

まぁ、その素振りでさえ最小限なのですがね!


「…俺は……」

「王様!…お名前は…っ!」

「わかっている。だから困っているんだ」


そういって再び考える素振りを見せました。

って、ちょっと待って。

今、後ろのイケボさんなんつった?王様って言ったよね?え、じゃあこの人王様なの?

え、なんの?てか本当にここどこ。

混乱を極めた私は後ろに立っていたイケボさんの足首を掴んで、


「イケボさぁぁぁん!ここどこですかぁぁぁ」

「うわっ、ちょっ、離しなさい!」

「教えてくれるまで離しませんんん」

「あぁもうしつこい!」

「あうっ」

イケボさんはそういって私を無理矢理引き剥がしました。


私、乙女なんだけど。扱い雑すぎない?


イケボさんは私が掴んでいた所のシワを伸ばすと、大きなため息をつきました。

「……王様。本当にこの女なのですか」

「らしいな。俺が選んだ訳ではないが」

「…そうですか」

となんだかバカにされているような気がしなくもない会話が頭上で交わされます。


「…説明します。一回で覚えなさい」

「…あ、はい」

「ここは人間界、魔界、天界の3つの世界の間にある境界の空間――アインガングです。どこにも属さない中立の立場であり、異世界同士をつなぐゲートの役割をしています。そして、そちらに御座すのはアインガングの王です」

「はぁ…」


え、なに。つまりここって異世界?異世界トリップってやつ?

まぁ、確かに目の前にいるイケボさんも王様?も明らかに日本人顔ではない。


「私はアインガング王第一補佐官です。…それで?あなたの名前は?」

はぁ、とまたため息をつきました。


「え、いや、名前言われていませんよ?だったら私だって教える義務はありません。お二人の仕様に合わせるのならば女子大生です」


王様、王様第一補佐官。

そういう役職名でしか紹介を受けていません。


「俺とソイツは名前を教えることはできない。それがここでの決まりだ」

「へぇ。そうなんですね、不便」

王様がそう教えてくれました。


それで?

「名前のことは一旦置いといて。私は何故ここにいるんですか?帰りたいのですが」


ここがアインガングという異世界なのはわかった。前の人が王様でイケボが王第一補佐官だということもわかった。


けれど、何故私がここにいるのか、どうやったら帰れるのかは教えられていない。


既に私の中でこれが夢だという可能性は否定しています。

だって、脇腹痛かったからね。


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