プロローグ どう見てもこっちが悪者である
前略、父上様母上様お元気ですか?お体に障りはございませんか?もう季節は春になったとはいえ、季節は変わり目、体調を崩しやすい時期でもあります。お気をつけてください。そうそう、実家から送られてきた野菜、とても美味しゅうございました。流石に一人では食べきれなかったので、お隣さんや近所に住む人達にもお裾分けしました。皆さん大変喜んでいました。近いうちにそちらに戻って詳しい話をしたいと思っています。でもしばらくはそちらに戻れそうにもありません。何故ならば……。
「妖魔獣め、妹を…妹を離しなさい!!」「いや、お願いこっちの話を聞いて」
今現在、可愛らしい恰好をした少女にやたらファンシーなデザインをした杖を向けられていること。自分の腕の中には、同じ格好をして衣服が所々破けて弱っている少女がいること。そして何より自分自身がどう見てもR-18指定のゲームに出てくるような化け物(触手付き)になっていて、傍目からみても「グェッヘッヘッヘ、妹を返して欲しくばこちらの言うことを聞くんだな」的な状況になっているからだ。
「お姉ちゃん!!こんな奴の言う事を聞いちゃダメ!!私のことはいいから、こいつを倒して!!」
「いや、そういう意味での聞いてじゃないから、ただでさえ誤解されているのにこれ以上事態を悪化させるような発言はヤメテ」
どうしてこうなった!!自分はただ、ファミレスのバイトで少し遅くなって帰宅途中、ボロボロになって倒れているこの娘を発見して手当てをするために適当な場所を探していただけなのに……
「大丈夫、お姉ちゃんがすぐに助けてあげるからね…」「だったら俺のこの状況も何とかして」
どうもこの姉妹と思われるこの二人、こっちの話を聞いておらず、自分のことを誤解している。まぁ今のこの姿じゃ仕方がないと思う。だけどさぁ…こっちの言い訳を聞いてくれる余地はあってもいいと思うんだよね。
本当にどうしてこうなった……。そうぼやきながら自分がこの町に一人暮らしを始めた二週間前のことを思い出していた。
初投稿です、しかも作者は豆腐メンタルです。厳しい批評ならギリギリで耐えられますが、誹謗中傷等を受けた瞬間、精神が木端微塵に砕けてしまうので、勘弁してね。