俺ってすごいらしい。
ルーが言うには、俺みたいに自在に魔法が使える人間は稀有な存在らしい。世界で一握り、いや、もしかしたら俺以上に使える人間はいないだろう、とこちらが引くぐらい熱く語っていた。
多分だけど、転生ってヤツが俺の能力に関係してるんだろう。
前世で読んだ異世界ものの小説は大体がそんなのばっかだった。転生・異世界トリップしたヤツが無双して、魔王とかいろいろ倒すんだな。たまになんの能力も持ってなくて残念な奴もいたっけな。
俺は前世の記憶があるだけマシな部類かと思っていたが……聞いた話ではこの世界に魔王は居ないらしいし、比較的平和な時代が続いてるってことだから、俺が魔法が使えることなんか案外どうでもいいことかもしれない。
が、ルーにとっては一大事だったようだ。
それから父が来て母が来て……俺は次の日から魔法の修行に入ることとなった。オムツかぶれが治ったばかりの赤ん坊になんつースパルタ!って思ったが。
次の日に来た女教師も半端なかった。
「セバス様のお話はパルクルト様より伺っております。私本日からセバス様の教育係を勤めさせていただくパリ・サズ・ルカンバラスですの。さっそくですが、今から始めますので。」
ぇえ~?パルクルトって誰?ん?ルーか?ルーなのか?
駄目だ、ルカンなんちゃらには俺のふえっ、攻撃が通じない!
嫌だ~なんで今からお勉強するの?
さすがに赤ん坊の意思表示にも限界がある。
鈴をチリンチリンと煩いほど鳴らしても、目の前の女はピクリとも表情を変えなかった。
最後の抵抗で風魔法で俺の周囲を包む。
俺は赤ちゃんなんだ、勉強なんかしない!
「…セバス様、その魔法は誰から教わりましたの?
まぁ、良いでしょう。
その結界を壊してお勉強に行くことに、変更はございません。」
俺はその女の言葉を聞き、風魔法を強化、膜の層を10枚重ねた。
1枚破れるたびに自動で1枚修復されるよう設定…っと。
よしっ、準備完了。
俺はパリなんちゃらに視線を向け笑う。
やれるなら、やってみろよ。俺はお昼寝するからな。
「あー。」
…………あーしか言えなかったけどな。ま、伝わっただろ。
つくづく言葉を話せないのが残念だと思いながら、俺は眠りに落ちた。