恐怖の大魔王。
「お帰りなさいませ、セバス様。」
それはそれは素敵な笑顔でルーは俺に声をかける。
「して、どちらにお出かけされていたのでしょうか。お部屋にいらっしゃらなかったので、失礼ながら待たせていただきました。」
ルーのこめかみの青筋がピクピクしている。
何故そんな笑顔で怒っていらっしゃるのかしら…ねぇ、ヒュー?
と、俺の首根っこを掴んだまま微動だにしないヒューを見上げればあら不思議。汗ダラダラでルーから目を離さない、真っ青なお顔のヒューさん。
(ヒュー、俺たち、どのぐらいヤバイ感じ?ねぇねぇ、教えて~。なんでルーはあんなに怒ってますの?)
俺の念話にもヒューは無反応で。
仕方がないので本人に直接確認。
(ルー、ただいま!ちょっと隣の国をヒューに見てきてもらってさ、遅いから迎えに行ってました!)
ビギッとルーの青筋が音をたてたような気がした。
今までピクリともしなかったヒューが漸く動き、俺を無言でルーに引き渡した。
(?どうしたのヒュー?)
「ルー、僕ちょっと時間がほしい。後で必ず。セバス様申し訳ありません。失礼致します。」
えぇ~、偵察そんなに大変だった?!
確認しようとしたらヒューは黒タイツのまま姿を消した。
いや、おまえせめて着替えていけよ!!