お仕置きの時間その1。
俺は調子にのっていた。
だって獣人族の赤ちゃん可愛いんだもの~!
大人の方達をほったらかしにして、寝ている赤ちゃんを撫で回していた俺の頭がガシッと鷲掴みされる。
え?
恐る恐る後ろを振り返ると鬼の形相をしたヒューが無言で立っている。
「あ~?ひゅー、な~?」
(ナにかな、ヒュー、なんで怒ってるのかな?)
氷の様に冷たいヒューの声が俺の耳に突き刺さる。
「…おい、このクソ主。おまえ、何をしたか、わかってる?」
……ヒューの口調がいつもと違いますねん。
怖いですネン。
でも俺は何故ヒューがこんなに怒るのかサッパリですねん。
「あ~、る~?」
(あ、丁度良いところに!ルー!ヒューが怒ってて大変!俺なんかした?)
いつの間にか部屋の隅にいたルーに助けを求める。
が、そのルーも何時もより無表情で俺と、ヒューと、獣人族の皆様を見ている。
あれ~?失敗した?
「…ヒュースガルディー、報告しろ。」
ルーの命令に、ヒューが俺の頭を一度ギュッ!としてから手を離し、 報告を始める。
痛い痛い!
「セバス様が獣人族に誘拐された場所まで追跡、奪還後帰還する予定でしたが、セバス様の魔法でその場にいた全員、こちらに強制転移させられ、今に至る。」
「…………強制転移?」
あ、ルーに青筋たった。
俺はヒューを見てルーを見て後ろを向いて現実逃避。
赤ちゃんナでナ~で~♪
か~わい~い!!
「セバス様、獣人族の方々はお疲れのご様子。別室にご案内してお休み頂きます。今、人を呼びましたので。」
ルーの気遣いにビクッとしたのは俺だけじゃない。
これまた隅のほうで小さくなっていた獣人族の皆さんもいきなり名指しされてビクビクしてる。
ルー、普通にしてても怖いのに、今、威圧感半端ないからね。
誰も言葉を発しないでいると部屋のドアがノックされ、入ってきたメイドさんに獣人族達が連れていかれてしまう。もちろん赤ちゃんも!
「あ~!い~!」
(赤ちゃん!俺も一緒に行きたい!)
「セバス様には私共から少しお話がありますので、こちらに残って頂きます。……いや、残れ。」
いやん、ヒュー、怖い。