シールズとセリエア
シールズは、セリエアのために花を用意した。
今は、昼間の王宮である。セリエアはあれから自分の部屋から出ようとはしない。
シールズは、後ろに自分の雇っている使用人を連れて、セリエアの部屋に向かった。使用人には大きな薔薇の花束を持たせている。
シールズはふさぎこんでしまったセリエアの所まで歩いていた。
シールズとセリエアは、昔からの腐れ縁だ。小さい頃には一緒に遊んだこともある。今となっては、あまりいい関係ともいえない。本来ならばセリエアを元気付け来たりなどしなくてもいい。ほうっておけばいいはずだ。
だが、シールズはなんとなくそれができなかった。どうしてなのかは、シールズ自身にも分からない。
シールズはセリエアの部屋の前に立つ。ドアは大きい。この先にセリエアがいるのだと思うと、シールズにはこのドアがいままで以上に大きく見えてきた。
大きく呼吸をして、ドアをノックした。
「どうぞ」
中から元気のないセリエアの声が聞こえてきた。シールズは口の中が乾いてくるのを感じ、開けるのに勇気がいるドアを開ける。
こんなに緊張をしたのはいつぶりだろうか? セリエアに会いに行くだけだというのに、とても心細く不安になる。
中にいたセリエアは、やつれた様子であった。
どうやら髪の手入れをしていないらしい。髪はところどころほつれており、肌の血色も悪い。
「髪くらいは触ったほうがいい。美人が台無しだよ」
シールズは言う。
「ご心配かけます」
セリエアは、また力なく答えた。
「花の香りは気持ちを落ち着かせるらしい。どこかに飾っておくといいよ」
そう言い、使用人に言って、部屋にあるテーブルに薔薇の花束を置かせた。それだけ言うと、沈黙がおこる。




