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バルテとシビリオス

 ここは夜でも昼でも暗い。

 小さな窓から光が差し込んでくる以外に、光源は存在をしなかった。バルテは、真夜中にそこに訪れた。

 石を組まれた壁と天井であるが、使用人のスペースに使われている石と比べても、いびつでザラザラとした感触をした、黒い色のものだ。

 鉄格子が並び、その中に罪人を収容しておく空間がある。ここは王宮の牢である。

 カンテラを持ち、ロウソクの火一本でその暗い空間を照らして辺りを窺っているバルテ。鉄格子に取り付けられた、番号の書かれた看板を一つ一つ確認していき、目当ての牢を見つけてその中をカンテラの光で照らした。

「起きていたか」

 中の人影は、ムクリと起き上がり、バルテに向けて上品に礼をして見せた。

「このような夜更けに、ようこそいらっしゃいました。おもてなしもできずに申し訳ない」

「どこまでクソ真面目なんだよ。この状況でそんなマネをよくできたな」

 バルテは呆たような声で言った。

 シビリオスは、すでに囚われた囚人である。これから処刑の日が決まり、その日に尽きる命となっているのに、未だに礼節と忠義を忘れようとしない。

「アレンファルドの騎士としての誇りは今になっても忘れていません。これから死ぬまで、ずっとそうしていくつもりです」

「本当にクソ真面目だ」

 だが、だからこそ自分はここにいる。バルテは本題を話し始めた。

「お前には今までの功績がある。恩赦を受ければ死刑は免れるかもしれんぞ」

「私がバルテ様の部下になれば、王に口ぞえをしてくださるという訳ですね?」

 一言でバルテの考えを見抜いたシビリオス。

 バルテは、シビリオスの命を助ける代わりに、自分の部下になるように交渉を持ちかけに来たのだ。

「それはお断りします」

 シビリオスはそう答えた。

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