その後
セリエアには、バルテの言葉がまったく聞こえていなかった。
犯人は、セリエアにはすでに分かっている。周囲の重鎮達がどよめく中、表情を変えずに、だが本人は、ぼうっとした気持ちでシビリオスが引っ立てられるのを見ていた。
バルテが言い出す。いつもの得意げな言い方ではなく、坦々と資料の中身を読み上げていく。
「彼は、諸国を漫遊するのにあたり、数々の国を訪問しました。その時、くすぶっていた今回の暗殺団を雇う事に成功したのです」
シビリオスがたてた筋書きはこうであった。
盗賊団にエリオン王子を暗殺させる。盗賊団には、これを成功させれば、自分の私兵にすると話をもちかけていた。
ならず者から官軍になれる。
その話は盗賊団にとっては魅力的な話だっただろう。その言葉にだまされた盗賊団は、ホイホイ荷物をまとめて転居をしたのだ。
盗賊団にエリオン王子を暗殺させた後、あの暗殺団を使って、盗賊団を壊滅させる。
そうして、暗殺団は、王子殺害の犯人を討ち取ったという成果が残り、犯人の口封じにもなる。
そして、『てつはう』等の新兵器の情報を手土産に、暗殺団はアレンファルドの直属部隊になる。そういう筋書きであった。
だが、春火の存在がその計画の邪魔をした。
盗賊団は春火によって撃退され、計画の変更を余儀なくされた。
警備が厳重になり、エリオン王子の殺害は困難になってしまった。ただのチンピラにはこの警備をかいくぐって暗殺をするのは荷が重い。
だから暗殺団に殺害をさせることにした。
エリオン王子を暗殺させ、その罪を盗賊団にかぶせて、予定を軌道修正する。
かなり無理のある筋書きであるが、シビリオスが自分で培ってきた自分の信用もある。暗殺団を取り込めば新兵器を手に入れられるという、利益もある。
その辺は、なんとしてでもゴリ押しで、もっていくつもりだった。




