てつはうとはどういうものか?
バルテ・ヴィランドの父親は戦闘指令。シールズ・サイラーンの父親は参謀。それぞれの分野で他の追随を許さない戦果をあげてきた。
どちらも優秀であり、今は元帥の地位を争っている。
現在の元帥は、すでに八十歳を越えており、もう無理のきく年齢ではない。本人も隠居を希望している。だが、元帥の椅子が空いてしまうと、どちらかを元帥にしなければならなくなる。
二人の力はどちらも大きく、今の元帥が椅子から降りたら、元帥の座を狙った衝突になるのは明らかなため、穴を埋めておくために元帥は隠居を許されないのだ。
その状況を二人は分かっている。かざりとして座っている元帥にかわり、実質的なツートップとなって、元帥以上の権限を持っているのだ。
その息子達も、父親の才覚を受け継いでいた。
若さにそぐわない出世は親の七光りという理由もあるが、自身の実力という理由も大きい。
親から受け継いだ因縁だろうか?
親と同じように、年齢は同じで、階級も同じ位置にいる彼らは、犬猿の仲ではあるものの、先のアレンファルドをしょって立つ、将来有望な人材である。
その二人は、他のこの国の重鎮達と並んで城の庭に並んでいた。
豪華な衣装を着た、壮年の男達の中、若い人間は春火の知るメンツくらいのもの。
その、この国の中枢の人間があつまるなか、セリエアが並ぶ彼らの前に立って公演を始めた。
「みなさん、これが問題の『てつはう』です」
火をつけ、セリエアが遠くに向けて投げる。すると、『てつはう』は集まった皆にも見えるくらいの大きな爆発をする。
これを見た重鎮達の反応は、さまざまなものであった。中で、手を上げた壮年の男が言う。
「これなら、セリエア嬢の使える魔法のほうが威力が上ではないかね?」
「お言葉ですが……」
それを聞いた者達の中で、バルテが言い出した。
「本物の戦争になれば、これが百も千も量産をされる事になります。これが、いくつも投げつけられるのです」
この国で戦争というのは、大抵はもみくちゃになっての乱闘である。
兵士は全員固まって、人の壁となって敵にぶつかっていくのだ。
そのかたまったところに、『てつはう』がガンガンと投げつけられたらどうなるだろうか?
戦う前からアレンファルドの兵は総崩れを起こしてしまうだろう。




