この国の事 2
軍隊を整備し、外国からの攻撃にそなえているのだ。
文民統制が成されているとは言えず、軍人や騎士の発言権は大きく、文武に優れた王でなければ軍人に認められない。昔には、次期国王が病弱なのを理由に、軍部の人間が戴冠式を潰した例まである。
だからこそ、セリエアはエリオンの教育に躍起になっているのだ。エリオンが弱いことはそれだけ重要な問題なのである。
「春火は言ってたよね。『健全な精神は健全な肉体に宿る』って」
リミラは真剣な様子だ。春火は木刀を振りながら聞き返す。
「またバカにする気かい?」
「そんなつもりはないよ」
リミラも、春火とセラシュの試合を見ていた。騎士であるセラシュと、十分にわたりあった春火。
エリオンとは違い、文武に優れた春火。エリオンでなく、春火が王子であれば、どれだけよかっただろうか?
「そういや、バルテ君もシールズ君の軍人の家系だし」
バルテもシールズも、剣を握らせれば騎士顔負けの戦いを見せる。
「春火の言った事は正しかったかもね」
アレンファルドは軍事国家だ。その特異性から春火のような事を考える者ばかりなのだと思っていた。
「そろそろ時間だから帰るね」
「お? 何があるんだい?」
「春火がこれから忙しくなるんだよ」
リミラは、春火の魅力に惹かれてしまった人間を知っている。自分にはまだ理解できないが、春火には、人をひきつける魅力があるのだろというのを薄々感じているのだ。
リミラは思わせぶりな言い方をして、その場を去っていった。
春火は、リミラの捨てセリフを特に気にせずに、剣を振り続けた。




