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それを見ていたセリエア
松明やランプなどの、すべての光源が消え、真っ暗になった王宮の廊下。
そこに、ランタンの光に照らされ、切れ長の瞳を満足げにして細めているセリエアの姿があった。
「セラシュは後でお仕置きですね……」
エリオンの部屋の前で中の様子を窺っているセリエアは言った。
ドアに背中を当てる。それだけで中で行われている事が、なんとなく感じ取れるものだ。
セラシュは、護衛の任を付けたにもかかわらず今は完全に寝てしまっている。
一仕事終えて、エリオンの様子を確認に来ていたセリエアは中に入らずにそれを確認した。
「エリオン王子が剣を振るなんて……」
昼間に庭で、セラシュと春火が剣の稽古をしていた。それを食い入るようにして見ているエリオン王子の姿があった。
あの姿に感化をされたのだろうか? セリエアがいくら発破をかけても、エリオン王子は動かなかったのだが、春火の事を見て剣を振り始めた。
自分にできなかった事が春火にできた。
春火は一体何者なのだろうか? セリエアは春火に不思議な力があるように感じる。
魔法のような、目に見えるものではない。だが、確かに存在する。人に感応をして人を押し上げる力があるように感じるのだ。




