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稽古

 庭に出ると、真昼の日差しが二人を包んだ。

 二人は王宮から少し離れた場所にある芝生で、お互いに木剣を抜いて向かい合っている。春一番のような強い風が吹く。春火のドレスが風に吹かれてたなびいた。

 剣を持つと、さっきまで落ち込んでいたセラシュも、目つきが変わり、意気のこもった視線を見せる。

 春火は、落ち着いた表情をしていた。

 春火とセラシュの構えは似たようなものである。春火の剣道の構えと似たような持ち方で剣を持つセラシュ。

「政略ってのは、剣術と似たようなものだよ」

 春火は上段に構えてセラシュに飛び込んでいく。

 春火に向けて、まっすぐに木剣を突き出した。それに春火は、体を翻して剣を横なぎに放った。

「突きの返しは薙ぎ」

 春火はセラシュのわき腹に木刀を当てた。

 セラシュと春火は仕切りなおし、距離を取る。剣の先と先が触れ合うくらいの距離になり、お互いの切っ先を軽く当てる。それは次の試合が始まる合図だ。

 そして、春火はまた出て行った。セラシュは春火の動きをよく見る。春火の動きから左上から剣が切り込んできて、首元を狙う斬り方である『袈裟』であると判断し、自分の剣でその斬撃から守った。

 だが、春火の斬撃はセラシュの頭上を通り、斬りの軌道を変えた。

 右上から斬撃が襲う『逆袈裟』の斬りがセラシュを襲ったのだ。

「こういう相手の裏をかくのだって必要になる」

 セラシュの右の首元に春火の木刀が当てられる。また仕切りなおし、次の一本に入った。

「それに、迷いがあったら勝てない」

 もう一度『袈裟』をはなった春火。さっきのを見せられてフェイントではないかと迷ったのだろう。春火の剣を止めるセラシュの剣に力がこもっておらず、セラシュの剣を押し込んで、首元に木刀が当てられた。

「上手く動けていないよ。いつもの自分を出してみな」

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