春火と、剣の稽古
「これからどうするつもり?」
リミラはセリエアに聞いた。
セラシュは重大な間違いを犯した。それに対して、セリエアはどう思っているのか? セラシュの事を見限るのではないのか?
そう思って聞いたが、セリエアは答える。
「セラシュほど優秀な人間を手放すわけがありません。普通の者であれば、知らんぷりしますからね」
普通の人間だったら……
『リーフェン』と『セルファ』だって、魔術師だ。そう簡単にやられはしないだろう。そう考え、この事を放っておくだろう。
魔術師だって人間だ。奇襲されたり、数で攻められたりしたら、どうにもならない。
そして、『リーフェン』と『セルファ』が何者かに襲われて、倒れてしまっても黙っているだろう。
原因を追究し、犯人であると割り出されたところで、初めて白状をするか? それともしないか?
シラをきり続ける事だってありえるのだ。
「いくら『普通の人間』だって、そこまでひどいかなぁ?」
「人間をナメてはいけません」
いままでいくつもの政略に参加してきたセリエアだから、セラシュが優秀だと考えるのだ。
「今は彼女には反省をしてもらいましょう」
セリエアは、涼しい顔をして言った。
セラシュが王宮の廊下を歩いている。普段なら、気にもとめないキンピカの廊下だが、どうも、今の心境でこの廊下を通ると、キラキラ輝く調度品をみるだけでうざったく思える。
「セラシュ!」
声を聞き、セラシュが振り返ると、背後から春火が追ってきていた。
「なんですか?」
今の彼女には、どんな慰めの言葉を言ったところで聞こえはしない。下手な慰めの言葉を言っても無意味だ。
春火は、おもむろに木刀を取り出した。王宮の正装である、ドレスには不釣合いな無骨な木刀を持ち、セラシュに言い出した。
「剣の稽古に付き合ってくれよ」




