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冷たい言葉

「そんなものは、常套文句だというのは分かっています」

 バルテは苦笑いをした。「まさか、直球でそう言われるなんて……」苦笑いをかみ殺しながら言う。

「ならば分かるのではないですか? 『もう会う気は無い』って言われているのが」

 セラシュは言葉を失った。

「バカと話すのは疲れます……」

 バルテは今までと同じ口調で言う。こんなものは口にしないでも分かるようなことではないのか? いちいち話をする必要なんてあったのか? そう言っているのである。

 セラシュは反論の言葉一つ思いつかない。そこに、トドメを刺すように、バルテが言う。

「セリエアの代わりに捜査をしている魔術師の名前は、『リーフェン』『セルファ』で合っていますかね?」

「……へ?」

 バルテは奥歯を噛んだ。また、『何でこんな事も分からないんだ?』という態度だ。

「セリエアが動けない代わりに、捜査に入っている魔術師の名前は、『リーフェン』『セルファ』で合っているか? って聞いているんだ!」

 魔術師の名前など聞かされていないセラシュ。バルテはさらにイラだった顔をした。

「なんでこんな事を聞くかっていうと! もしも、いきなり怪我とかしたら調べるための足がなくなって困るんじゃないのか?」

「それは……」

 そこまで聞いて、セラシュはやっと今の事態に気付いた。

 もし、バルテが手を回してその二人の魔術師に手を出してしまったら、セリエア様の情報が、完全にシャットダウンされてしまう。

「そんな事をしてあなたに何の得があるというんですか!」

 セラシュは言う。

「ああ。確かに何の得もない。だがやる」

 冷たい声で言うバルテ。

 そんな事になれば、どうなるだろうか? 

 セラシュは、自分でセリエアの代わりに魔術師が捜査に当たっている事を言ってしまった。バルテはその情報を元に、当人を割り出したのだろう。

 つまり、もし『リーフェン』と『セルファ』に何かがあったら、それは自分の責任だ。

 ばれる事になれば、自分の立場が危うくなる。

 バルテは、絶対に黙っていない。セラシュが、自分で『リーフェン』と『セルファ』の存在を明かしたことを言うだろう。

 バルテは、下を向いて懊悩に沈んでいるセラシュを捨て置いて、その場所から去っていった。

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