これで終わりではない
『身中の虫』とは、セラシュも言われたものである。ヒドイ言いようであると春火は思うが、セラシュはそれだけの事をしているというのも事実である。
「続いて、春火に『嫌な役をさせた』と言いました。それについて説明をします」
いままで、新しい情報を完全に干されていたセラシュ。
腹を減らした魚にエサを与えるようにして、ビンの情報を渡した。
セラシュはそのエサに食いつき、すぐにでもバルテと交渉を始めようとする。
「情報の重要度を理解していないセラシュは、喜び勇んで教えるでしょうが、バルテ様がどう思うでしょうか?」
いくら粘り続けても、出てきた情報はこの程度。セラシュには利用する価値はないと考えるのではないだろうか?
「春火はセラシュの事を『はめる』ために協力をしてもらいました。これが、『嫌な役をさせた』という意味です」
セリエアは、言葉を止めてエリオンに視線を向けた。これはエリオンにこの事に関して何かの発言を促す意味である。
「だけど、まだ悪い結果になると決まったわけじゃないんじゃないかな……」
「いい結果になるとも思えませんが……」
苦笑を浮かべて答えるセリエア。口には出さないが、『エリオン王子は考えが甘い』などと考えているのが見て分かる。
セラシュがセリエアの部屋に戻ってくる。
セラシュはいつも通りの面々が真ん中のテーブルを囲んで座っているのを見た。
セラシュが帰ってくるのを見つけたセリエアは、席を立ち上がる。
「交代ですか。それではよろしくお願いします」
セリエアはセラシュが帰ってきたことで、休むために寝室のベッドに向かっていった。
「少々お待ちください。一つ、お耳に入れておいていただきたい事がございます」
どことなく威風堂々とした様子のセラシュ。自信に満ちた姿であった。
「なんでしょうか?」
「今、シールズ・サイラーンが、シビリオス様のお宅に調査を入れているというお話を聞きました。屋敷に部下を入れさせたりなど、かなり大胆な事をしているという噂です」
「その情報の出所はどこですか? 信憑性のある場所なんですよね?」
「仲間の騎士の親戚が、シールズ家の私兵として働いておりますので、そのツテで教えてもらいました」
「そうですか……その件については、調査しだいシビリオス様を助けねばなりませんね」
セリエアはそう言い、歩む先を変えて、部屋の外へ向かっていった。




