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バルテの本心
王宮の廊下で、柱にもたれていたバルテが、シールズを見つけて声をかけた。
「よう。重要な情報を手に入れたぜ。教えてやろう」
シールズは一呼吸置く。いきなり重要な情報なんて、バルテが教えてくるわけがない。警戒しながらも、シールズは聞く。
「言ってみなよ」
「問題になっているビンには、毒が入っていなかったらしいぜ」
「……」
シールズは考える。この沈黙は、相手の事を警戒しているからこその沈黙ではない。バルテが何でこんな事を言うのか、分からないという沈黙だ。
「それがどうしたというんだい? 自殺ではなく殺害だったというだけの事じゃないかい?」
「ああそうだな。飯に毒を混ぜたか? 毒を無理やり飲ませたか? それともガスでも嗅がせたか? それだけの違いだ」
バルテは、シールズの事をうかがいながら言う。
「あの騎士はロクな事を知らないらしい。そっちはいい情報はつかめたか?」
「特には無いね……」
シールズは答える。これは本当の事だ。セリエアの秘密の保守は硬く、何もシャルテからは聞き出せていない。
「潮時か」
「お互いにそのようだね」
短く、お互いの行動を確認しあった二人は、お互いに別のほうに向けて歩いていった。




