セラシュの成功
バルテとはいつもの場所で落ち会った。
人が引いた後の召使達の食堂で、セラシュとバルテが会話をしていた。
「ビンの毒がなかった……」
バルテはその話を聞いて、唸った。
「どうですか? セリエア様は重要な証拠になると仰られていたようですが」
バルテは、頭をかきながら言う。
「殺害に使った凶器の新事実という点では重要な証拠になりえます。どう使うべき情報なのかは、ここでは思いつきません」
バルテは慎重な物言いであった。今までどおりで、自分から何かをしゃべるつもりは無いのかもしれない。セラシュは苛立っているのを隠さずに、拳を握った。
セラシュが目を見張っていると、バルテが言い出した。
「そういえば、シールズはシビリオスの事をかなり疑っていましてね……」
シールズ・サイラーンは、シビリオスの領地に部下を送って、かなり大胆に調べているらしい。
屋敷に部下を入れさせるほどの事までしているというのだ。
「さすがにそれはやりすぎですからね。セリエアに言ってやめさせるように頼んでみてはどうでしょうか?」
自分が口を出してもあいつがやめるわけが無い。ただ、交友の深いセリエアなら言い出す理由も権利も強制力もある。
そう言うバルテ。セラシュはそれに納得をして答える。
「一応考えておきましょう」
考えようによってはシビリオスの危機である。それをセリエアに伝えるだけで、その危機を救える。十分に働いたことになるだろう。
顔では真面目な顔をしておきながらも、セラシュは成功を手にして拳を握った。




