春火がやっていたのは……
春火は、リミラの読み通りに、滝の所までやってきた。
そこは、滝つぼというより、小さな湖のような広さで、綺麗な水が流れ、魚が何匹も泳いでいる場所であった。周りは木が散在するようにして生えていて、十分に風が通り、気持ちよく通るところである。
五メートルくらいの落差がある滝から、水の落ちるすがすがしい音が聞こえる。
春火は、服の裾と袖を紐で結んだ。
「着替えませんか……」
低木の生えている場所を見つけ、その影から春火の事を見ている三人。その中でセラシュが言った。
水の中に入っても服が脱げないように、紐で固定をしたのだ。
春火は滝つぼの方に近づいていく。そして、滝の下に潜り、両手を合わせた。
「あれなに……?」
春火のとる行動が意味不明で、リミラは他の二人に聞いた。
「滝行です」
それに応えたのはセラシュだった。
滝に身を打たれ、精神を鍛えるというものである。だが、今の時代にそれをやる人間は、もはやいない。
体を冷やし、体力を削る。体が弱るだけで、何の効果も無い訓練の方法として、誰も手を出さなくなっているのだ。
数分間の滝行を終えた春火は、荷物の中から木刀を取り出した。
そして、鎖を取り出して木刀をがんじからめにする。
「あれは……?」
リミラがまた言うのに、セラシュが答える。
「錘です。あれを持ちながら振ると、いい訓練になります」
そして、春火は素振りを始めた。
「色気がないですね」
セリエアがため息を吐きながら言う。セラシュはそれに一言あるようだ。
「何をおっしゃいますか。濡れ姿というのもよろしいではないですか。素振りをするたびに飛び散る水しぶきの、綺麗な事といったら……」
「私にそういった趣味はありませんね。泥臭いだけです」
なおも、その話はとまらない。続いてリミラが言う。
「それよりも、二人とも見なよ。濡れた服がピッタリと体に吸い付いて……」
体のラインが浮き彫りになるくらいに張り付いた服を着る春火は、一心不乱に素振りをしている。
無防備に自分の体をさらしている姿に、三人は息をのんだ。




