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春火がどこかへ……

 王宮は、生活をするには最高の場所だ。城下に逃げ込んだところで、いくあても無いだろうし、あったとしても、今よりも生活レベルは格段に落ちる。

 春火はその場の情動で動くような人間ではない。計画を立て、熟考をして、行動を決める。軽率な行動は取らない。

 自分を元の世界に返す方法を持っている場所は王宮の魔術師だけであろう。ここから逃げ出してしまったら、それこそ元の世界に帰る手立てが無くなってしまう。

「その通り、ここの生活は快適だからね。ここから離れられそうに無いよ」

 春火も、『逃げ出す気は無い』という意思をここで口にした。それで、外出の許可が出る事になったのだ。

 それ以降、乗馬の方法をすぐに覚えた春火は、よく朝に王宮の外へ出て行く。

 その姿を、後ろからリミラとセリエアとセラシュが追っていた。

「セラシュが調べたんでしょう。着替えを持っていく。そして、帰ってきたら着替えていた。そして、着替える前の服はびしょ濡れになっている。そうなれば、どこかの水場で泳いでいるって考えるのが普通だよ」

 そう会話をした二人。春火の後姿を見ながら、お互いに馬に乗って並んで歩き、後ろをつけていく。

 その二人に並んで、二人で同じ馬に乗っているセリエアとエリオンがいた。

「なんで僕まで……」

「あなたのお妃様の事ですよ。知りたいと思うのは当然でしょう」

「僕は知りたいなんて……」

 こっそりあとをつけて、相手の事を覗くのなんてよくない。そう思っているエリオンだが、セリエアがエリオンの言葉に被せて言った。

「知りたいと思うのは当然です」

「……はい……」

 無理矢理エリオンの意見をねじ伏せるような言い方をしたセリエア。そして、春火を追って馬の足を進めていく。

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