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バルテとシールズのその時

 王宮の廊下でばったりと顔を合わせたバルテ・ヴィランドとシールズ・サイラーンの二人。

 お互いに刺すような視線で睨み合いながらも、相手から情報を聞き出し、自分の抱える情報を漏らさないことを考えながら話をする事を考える。それは二人とも同じ事であった。

 シールズから口を開いた。

「バルテ。今回はセラシュとかいう騎士に目をつけたようだね。あの子も泣かせる気かい?」

「おいおい……俺は硬派だと自分で思っている。お前みたいな見境の無い軟派野郎と誤解されるような事を言うなよ」

「……まあいいや。彼女が泣く事になっても僕のかまう事じゃないからね」

 お互いに含みがあるような言い方である。

 セラシュの話題はすぐに切り替える。バルテが次の話に入る。

「お前が狙ったのはセリエア付きの使用人なんだろう? たかだか使用人からロクな事がききだせるもんかね?」

「……まあ、彼女はセリエアに不満があるようだ。愚痴ばかりを聞かされているよ」

「ほらみろ。簡単なところから攻めていこうとするからそうなる」

 バルテは一度そう言った。だが、シールズが本当にそれだけしか聞いていないとは、バルテも思っていない。

 言葉を止め、シールズの事を見据えながら聞いた。

「お前こそ、いつもの方法を使っているのはいいが、いつものパターンになってきているんじゃないのか? 何だ? その協力をしてくれる『シャルテ』に渡す、プレゼントのネックレスは?」

 手提げ袋を持っているシールズを見て、中身をネックレスだと見破ったバルテ。しかも、シャルテの名前まで出てきた。

 なぜ、シャルテの名前を、バルテが知っているのか? 要求されたプレゼントの内容を知っているのか?

『どうやら、自分のやっている事は漏れているようだ……』

 そう考えてシールズは目を細める。

「相手の要求がデカくなってきているんじゃないのか? 温厚な紳士のフリをするのはいいが、ナメられてそうなるぞ」

「なあに。いつもの事だ。君が気にする事じゃないよ」

 お互いに行動は筒抜け。やはり、油断のなる相手ではない。お互いに目配せをし合った後、二人はすれ違い、お互いに背を向けて歩き去った。

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