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シビリオスとリミラ

 セラシュは春火にそういわれても、シビリオスに向けて目を見張った。明らかに敵を見るような視線である。それを見て、セリエアもひたいにしわを作る。

「セラシュ。軽率です」

 セリエアも言うが、セラシュはひるまなかった。

「いえ……もしいずれリミラ様と結婚をされるというならば、あなたも王位継承権を持つということになります」

 セリエアはセラシュに向けて、渋い顔をしながら言う。視線は部屋のドアに向いていた。

「そんな事、みんな分かっているんですよ」

 セラシュの事を一瞥したセリエア。ドアの方には、お茶を淹れなおして戻ってきたリミラの姿があった。リミラはみんなにお茶を渡しながら言う。

「そうだね。シビリオスさんは、王位継承権を持つかもしれない。そうなれば、お兄ちゃんの事を狙う理由があるって事になるね」

 リミラの様子は、悲しげに見える。一気にあたりが重い空気になっていく。

 きまりの悪いセラシュは、自分の前に紅茶を置き、セリエアの前に行くリミラの様子を、横目で見送った。セリエアはきつめの口調で言い出した。

「セラシュ。それで、話の続きをどうするか考えてありますか?」

 キツイ口調のセリエア。春火がセリエアに向けて言う。

「セリエア……やめてあげなよ。セラシュだって悪気があったわけじゃ……」

「いいえ、はっきり言っておきます」

 セリエアは言う。

「気づいても言わない方がいい事と、言う方がいい事の区別くらいはつけてください」

 ここで、リミラと浅からぬ関係があると考えたセラシュはその事から、シビリオスがエリオンを狙う理由がある事を推理したのだ。

 だがその先がいけない。

 セラシュはその事に気付き、シビリオスを糾弾した。それはいいが、糾弾してからどするかなどという事は考えていなかった。

「結果、この場の空気が悪くなっただけです。推理して気付いた事を言う時は、それを発言したらどのような結果がもたらされるかを考えたうえで発言をするべきです」

 そして、これが犯人との会話であればどうなっただろうか? 自分の手の内をさらし、相手に考えるための要素を与えてしまう事になる。

「軽率な発言は、自分自身を苦しめます。自分が苦しいという事は、敵にとってチャンスであるという事です」

 今は、まだ見えない犯人を、手探りで探しているというところである。軽率な行動に出たり、成果目当てに先走ったりする者がいると、他も迷惑をするのだ。

 セリエアが言い切った後、春火が言う。

「まあ……シビリオスさんとリミラに謝りなよ」

 そうすると、セラシュはシビリオスとリミラに頭を下げた。

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