そして、その頃のバルテ
バルテ・ヴィランドは目当てにしている人間を探した。
あの件があったのに、懲りていないセラシュは、いまだにメモを取っていた。それを見つけたバルテは、声をかける。
「騎士さん。熱心ですね」
セラシュは、声をかけられて振り向く、
いきなりやってきた不測の事態に、セラシュは動揺を隠せない様子で驚いた顔でバルテの事を見つめていた。
「そんなに警戒をしないでください。セリエアとは長いつきあいですから、ああいう態度でしたが、普段からあんな事をやっているわけではありません」
最初に会った時、バルテ・ヴィランドの印象は、優秀な軍人というイメージだった。
乱暴であり、頭に血が上りやすいが、芯の部分は冷静で、頭脳面は優秀という感じだ。
バルテ・ヴィランドは油断のできない相手であるという印象のセラシュ。じっ……と、バルテの次の行動をうかがった。
明らかにセリエアはバルテの事を警戒している。それが見て分かるような様子だというのに、バルテはそれにまったく気付いていないような様子で続けた。
「あの時、結局はワシの紋章の書かれた剣を見せてもらいませんでしたので、今度こそ、見せてもらいましょうと思いまして」
「剣ですか?」
セラシュは眉根を寄せた。見つかった武器は斧であったはずだ。細かい事とは思うが、バルテは斧の事を剣だと勘違いしているのだ。
「斧だったのですか? てっきり剣だとばかり思っていたのですが」
バルテは、驚いた様子で言う。
「まあ、大した間違いではないでしょう」
のんきな様子のバルテは、その事を気にせずに続けた。
セラシュは考える。バルテは、本当に危険な人物なのだろうか? もしかしたら、上手く扱うこともできるかもしれない。
セラシュは、決意を固め、バルテの事を睨みすえた。




