セリエアの部屋に行くと
リミラと春火は、二人で一緒になって風呂から上がってきた。
そして、向かうのはセリエアの部屋だ。
「お湯加減はどうでした?」
セリエアの部屋に入ると、セリエアが出迎えた。
セリエアは、ここにエリオンも呼んでいた。どこにエリオンの敵がいるか分からない。
自分の近くに置いて、監視をしようというのだ。それを見て、春火が言う。
「エリオンはここで寝る事になるのかい?」
「そうです。ここなら私とセラシュが、交代で監視をできますし、私が張った結界もありますので、ここが一番安全ですからね」
セラシュは今、風呂に入っているのだという。セラシュが帰ってきたら、セリエアも風呂に行く予定だ。エリオンの暗殺が企てられてから、ずっとそうしてきたのだという。
「お肌の曲がり角の時期に寝不足続きなんて、セリエアも大変だねぇ」
セリエアはそれを聞いて、顔をこわばらせた。春火の隣で、クスクス笑っていたリミラが口を開く。
「実は、セリエアは、お兄ちゃんと二歳しか違わないんだよ」
春火は、リミラの言葉を聞いてキョトンとした。セリエアとリミラの顔を交互に見る。
「え! セリエアってそれで16歳なの?」
「『それで』とは何ですか!」
春火が素直にその事で驚いているのに、セリエアが顔を赤面させて怒った。
物陰でエリオンがくすくす笑っているのを見て、セリエアはそれを思いっきり睨んだ。
「あの……何歳くらいだと思っていたのですか……」
セリエアから発せられる黒いオーラみたいなものを感じたエリオンは、すでに忍び笑いをやめている。
春火はそれに物怖じしておらず、涼しい顔をしながら言う。
「29の結婚適齢期で、親から見合い写真を渡されているような年頃だと思ってたよ」
「おバカ! ふざけないでください!」
セリエアが春火に言うが、春火は楽しそうに笑いながら続けた。
「早く身を固めないといけないよ。お父さんとお母さんに早く孫の顔を見せてあげないと」
「この年で孫ができたら問題が起きます! 別の心配をさせる気ですか!」
「なんかその考え方がババくさいね」
「バ……ババくさい……」
リミラがその会話に入っていく。
「セリエアは男の人からよく言われるんだよ『落ち着いているね……』って」
「それがどうしたっていうんですか……」
春火はニヤリと笑った。
「『落ち着いているね』っていうのはさ。『サバ読んでない?』って意味なんだよ」
「サ……っサバっ!」
セリエアの肩に手を置きながら、リミラが言う。
「もっと女の子らしい趣味でも持ったらどうかな? ぬいぐるみを部屋中に飾るとか」
「リミラ様の部屋は飾りすぎで品がよろしくないと……」
リミラの部屋に一度行った事があるが、置ける場所には手当たりしだいに置かれている。
それは、あまりいい趣味とは言えないだろうが、春火がそれに付け足した。
「品とか、そういう事を考えているのがババくさいっていうんだよ。リミラの方が子供っぽくてかわいいと思うよ」
「また……ババくさいと……」
それから、セリエアはふらふらと幽霊みたいな足取りで部屋を出て行った。
意気消沈しているセリエアを見て、春火とリミラは言う。
「リミラ。ちょっとからかいすぎちゃったかな?」
「そうだね。後で謝っておいたほうがいいかな?」
その後、セラシュがすぐに帰ってきてエリオンの警護に入った。
それから、セリエアの部屋のテーブルにイヌのぬいぐるみが、一つちょこんと置かれる事になった。リミラと春火はそれを見るたびに、忍び笑いがこみ上げてくるのだ。




