お風呂で話しをして
「何にだって手をだしていかなきゃダメさ。運動が苦手だの、勉強が苦手だの、そんな事を考えて自分の限界を決めてしまうのはいけない」
「こっちにとってはそれこそ聞き捨てがならないね。『少年老いやすく学なりがたし』いくつものものを同時に修めようなんて欲張りだよ」
リミラが言うのに答えて春火は言う。
「健全な精神は健康な肉体に宿る」
それを聞いて、リミラはキョトンとした。リミラは、春火は頭がいい子であると思っていた。だが、バカな人間の看板みたいな言葉を言い出したのだ。
「春火がそんな事を言うような子だったなんてね……」
「この言葉を理解できないって事は、それが君の限界だって事さ」
ニヤリと笑って言う春火。
リミラは、ここではそんなふうに勝ち誇ったようにする時ではないように思える。呆れの混じった顔で、それをやり過ごした。
「春火がぶっ飛びすぎているだけじゃないの?」
リミラは皮肉の言葉を言う。
「エリオンも、自分を鍛えたほうがいい……」
リミラも言っていた。『エリオンには褒めるところが無い』確かにそうだろう。彼はこれから次の王様になっていかなければならないのだ。
今の彼では不安すぎる。さっき、セリエアの部屋で会った、ざんばら髪のバルテ・ヴィランドと、プラチナブロンドのシールズ・サイラーン。二人だってエリオンの様子を見て、『自分にもチャンスがあるのではないか?』などと考えているだろう。
今のエリオンはこの事態をどう思っているだろうか? 少しでも、他人から立派になったと言われるようにならなければならないのに、彼自身にその兆しが無いのが問題であると、春火は思うのだ。




