紋章が書かれてるって事は
ワシの紋章が描かれていると聞いて、その意味を理解できない者はいない。
周りからの視線が痛くなってきたのを感じて、ヴィランド家が言い出したのだ。
それに対して周りの反応は、『往生際が悪い』と考えるものが半分。だが『サイラーン家ならやりかねない』と考える者も半分いた。
それで意見が割れ、ヴィランド派とサイラーン派に、パーティーが分かれる事態にまでなった。
春火が聞く。
「それで、セリエアから見たらどうなんだい? サイラーン家の人間がやったって思うかい?」
「五分五分です。ヴィランド家もやりそうですし、サイラーン家もやりそうです」
それを聞いて、リミラが言う。
「僕の印象を言わせてもらうと、バルテ・ヴィランドは、『血の気が多く、短気だけど、バカじゃない』シールズ・サイラーンは『腹黒くて、何より自分の利益を優先する人間だけど、悪いことだけはしない』って感じなんだ」
春火はリミラに聞く。
「なら、エリオンはどう思う?」
「『気弱で優柔不断で、何もとりえが無くて、褒めるところが無い』って感じだね」
「きっついね……」
そこで、部屋のドアをドンドンと叩く音が聞こえた。
そして、返事も待たずにドアを開けて入ってきた人影があった。
「セリエアぁ! 俺だ! あんな発表をするなんてどういう事だ!」
怒鳴りながら入ってきたのは、赤茶色の髪をざんばらに切った少年だ。年はエリオンと同じくらいである。
子供のような容姿をしているが、エリオンのようにおとなしい感じではなく、ワンパクな感じであり、豪華に作られた貴族の服がまるで似合っていない印象がある。
この少年が、バルテ・ヴィランドである。
そして、開け放たれたドアの外で立っている少年の姿もあった。
髪は整えられており、鋭さを強調するような銀縁の眼鏡の奥に。また鋭い目が宿っている。プラチナブロンドの髪が、冷徹な彼の事を印象つけているようで、スラリとした体型をした、底の見えない感じの少年だ。その少年、シールズ・サイラーンは言った。
「バル……君は礼儀をわきまえていないのか? 返事くらい聞いてから入ったらどうだ?」
「シーズ……お前は黙っていろ。俺はセリエアに用があって来ただけだ。金魚のフンみたいについてきただけのくせに、口を挟むな」
お互いに顔を突き合わせて鋭い視線を交差させた。
そして、セリエアの方を向く。
「お前がつかんでいる証拠を俺にも全部教えろ! 問題になっている斧も見せろ!」
セリエアの方にやってきて、いきなりそう聞いてきた。
それに、セリエアは口元をニヤリと歪めた。
「今回の件は、何かと事情が込み合っております。お座りになって聞いていただきたい」
セリエアが春火とセラシュに目配せをする。
そうすると、セラシュと春火は席を立つ。そして、椅子の前にまでやってきたバルテとシールズは、二人に促されて椅子に座る。




