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困ったことに……

 城に戻ってからは平穏な日々が続いた。エリオンを狙う影の姿はまったく見当たらない。エリオン王子の警護には、セリエアの仲間の魔術師がつくことになった。

 エリオンが散歩をするときも、食事の時も、常にローブを着た男たちが回りにいるという状態だ。

 以前よりも窮屈さを増した自分の生活に、嫌気を感じながらも、エリオンはこの事件が早く解決をする事を願っているのが、今の状況だ。

 その裏でも、セリエアが活動を続けている。

 ここは、品のいい調度品の置かれたセリエアの自室である。

 エリオンに安全な生活を送らせる傍らに。今、春火とリミラとセラシュが一緒になってテーブルを囲んで相談をしているところであった。

「おあつらえ向きでしたね。ワシの紋章を持つ家は、王位継承権を持つ子供がいる家でした」

 ヴィランド家。王位継承権第二位の子供がおり、その家の当主の持つ権力も家柄も申し分がないほどである。エリオンがいなくなれば、正統性や家の権力もあり、間違いなくこの家が王位を取ることになるだろう。

 エリオンの暗殺をする理由は十分ある。

「だがここから先が問題でして……」

 サイラーン家。王位継承権第三位の子供がいる。

 この家の家紋はライオンを使っているが、ヴィランド家と先々代から仲が悪く、当主と共に子供も仲が悪く、揉め事もよく起こっているという。

 リミラが口を開く。

「それなら知っているよ。開いたパーティーの数で張り合ったり、家にある部屋の数が相手よりも少ないからって、いきなり家を増築したり。そしたら、それに対抗して増築合戦を始めて……」

「話を聞くだけでも、だいぶ仲が悪いねぇ」

 春火もそれに同意をする。そして、セリエアが続きを話し出した。

「私が斧にワシが描かれている事を公表しましたら、第二位王位継承者のバルテ・ヴィランド様が『俺はやってない! シールズ・サイラーンがやったんだろう!』と騒ぎ出したんです」

 セリエアは、このエリオン王子が盗賊に襲われた事を貴族が集まるパーティーの中で公表した。証拠を割り出していない事を口実に、騎士団から証拠品を取り上げたため、自分たちが何も調べていないというわけにはいかない。

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