騎士団から手に入れたのはいいけど……
帰りの馬車は、全員の乗ることのできる大きな馬車で帰る事になった。
「副団長の言うとおり、粗末なものばかりでしたが、一本、豪華に作られた斧がありましてね」
盗賊から押収をされたものの中に、証拠になりそうなものは何も無い。見るからに安い服をクタクタになるまで着続けている。武器も完全に手製で、中には石を磨いて作った刃もある。磨製石器など、セリエアは見るのも始めてであった。
「この世界では盗賊は、武器商人から買った武器なんかを使ってはいないのかい?」
「よほど貧乏なところでもない限りそうしていますよ」
春火の質問にセリエアが答える。そしてセリエアは続ける。
「この斧に描かれた紋章がありましてね……」
「なんですって!」
セラシュは驚いて声をあげた。リミラと春火は目を見張る。
紋章の刻まれた武器を持っているというのには、重大な意味がある。
紋章と言うのは、つまるところの家紋だ。家紋の入った武器を与えていたという事は、盗賊の事を自分の配下として扱っていたという証拠にもなり、この紋章がどこの家のものなのか分かれば、犯人も自動的に見えてくるはずである。
「ワシの頭です。この紋章を持っている家は一つだけですが……」
セリエアのすっきりしない言いようにリミラが聞く。
「『だけですが……』って何?」
「武器が綺麗すぎるのです。まるで新調をしたように……」
そして、セラシュが武器を叩き飛ばしたときにできたはずの傷も見当たらないのだという。あれだけ思いっきり叩き飛ばして、傷一つ無いというのもおかしい話だ。
「すり替えられたって事を言いたいんだね?」
春火は言う。そして続ける。
「騎士団の中で斧を盗まれたって人はいないか調べてみるのもよさそうだね。斧なんてその場でホイホイ用意できる物じゃないもんね」
春火が言う。この相談で、城の帰ってからの捜査の方針が見えてきた感じである。




