不穏な空気だね
セリエアがここに来る時は自分の部屋にする事に決めている場所がある。そこは、こじんまりとした部屋であるが、窓を開放したときは眺めがよく、季節によっても違った色が見える。
そこにセリエアとセラシュとリミラが集まっていた。
この部屋は、窓から崖の下が見える場所にある、森がありその先には麦を育てる畑。夏の今はまだ青い色をした麦畑の海に、浮かぶようにして城壁に囲まれた城下町が存在している。
空の青を存分に堪能する事ができる三階の部屋は、普段ならばセリエアが心を落ち着かせる格好の場所になっていた。
小さなテーブルを囲んで、セリエアは額に手を当て自分の額を握りつぶすように力を込め、歯を食いしばっている。
「まったく……水を切っているような感覚でした」
騎士団長との会話の事を思い出しながら、セラシュはそう言う。
何を言っても、まるで最初から用意していたかのようで、淀みなくスラスラと返ってきたのだ。水を切るかのように手ごたえがない。
「今日いきなり問題が起こっていきなり呼び出されたというのに、あの落ち着きようと対応の良さ……怪しすぎます」
「ぶつくさ文句を言ってもしょうがないよ」
リミラが言う。そして、リミラとセリエアは、セラシュに視線を向けた。
重い空気が漂っているのは分かる。だが、それ以上の事は分からないセラシュは二人の様子を窺った。
普段とは違い、渋い顔をしているリミラ。怒りの冷めやらぬ様子のセリエア。
この問題は騎士団の失態だ。騎士団の怠慢が盗賊を王領に入れた。この問題を解決するのも騎士団の仕事である、セリエアとリミラが気にする事ではないのではないかと、セラシュは思う。
どうして、ここまでこの事を気にしているのか分からないセラシュに向けて、リミラが真面目な顔をして言った。
「隊長の事を教えてくれない? 洗いざらい全部」
それに続いてセリエアが言う。
「いえ……その前にあなたの持っている武器を全て私に預けてください」
セラシュは、リミラとセリエアからいきなり言われた言葉に固まった。
「セリエア……それはいくらなんでもやりすぎじゃあ……」
「安全が確保されるまで、危険は取り除くべきです」
二人はそう会話をする。この事態がいったいどういう事なのか分かっていないセラシュは、震えながら言う。




