別荘につきました
天井から大きなシャンデリアが吊り下げられ、赤い絨毯の敷かれた広間。百人の人数がいる騎士団の人間が全員整列しても、部屋の半分も埋まることが無い。
整列をした騎士団。その前にはリミラとセリエアがいる。
「申し訳ありません。この件は、私の不徳のいたしました事態です」
別荘には社交ダンスをする広さの大広間がある。騎士隊全員が、ここに呼び出され、隊長は後ろで並ぶ騎士隊達の前で深くかしずいていた。
セリエアが、その騎士隊長に向けて、叱咤をしているところであった。
「駐屯している者からの報告は聞いていませんでしたか?」
「全て『異常なし』と」
「つまり、今日いきなりあの盗賊団が王宮の敷地に入ってきてエリオン王子を襲ったという事になりますね?」
「それについてはなんとも言えません」
「私達は同行を禁じられていましたが、騎士が一人も警護についていないというのはどういう事ですか?」
「同行を禁止されている者にセラシュの名前もありました。セラシュを指名されたという事は騎士隊全体に禁止をかけられたものだと思いました」
セリエアは目を鋭く細めた。隊長に対する怒りの込められた視線である。
それに臆せずに、騎士隊長は言った。
「セラシュをこちらにお返しください。緊急事態であるため、人手が足りません」
「拒否します。人手が欲しいのはこちらも同じです」
「騎士であるセラシュに指示を出す権利は私にあります。拒否をなさる理由をお教えください」
「義務も果たさずに権利を主張しないでください。あなたはエリオン王子の安全を確保する事を考えてください」
セリエアは、セラシュを連れて大広間から出て行った。




