別荘について……
セラシュとセリエア、リミラも一緒になって馬車の中に座っていた。エリオンと春火は、追いやられるようにして両隅に座らされる。
「まったく……危ない人たちから離れることができたと思ったのに……」
窓から外の事を見つめる春火。残念そうにして外に向けて言った春火に、セラシュは言う。
「もっと危ない人たちに命を奪われるところだったのですよ」
「命以外の大切な物を奪おうと、虎視眈々と狙っているじゃないか」
「もうふざけるのは止めます。ですから私の事を信用してくださいませんか?」
セラシュが言うのに、春火は鼻を鳴らした。
「君一人どころか、騎士隊全体が信用できなくなりそうなところによく言う……」
セラシュがギョッっとして春火の事を見た。
「どういう事なのですか……?」
セラシュは春火の言ったことの意味を理解していなかった。理解をしていたセリエアとリミラは、意味ありげに首を横に振った。
「その話は後にしましょう」
セリエアがセラシュに向けて視線を向けて言う。『これ以上何も言うな』『詳しいことは後で話す』そう言う意味の視線であると感じたセラシュ。
状況が理解できていないセラシュは、静まり返っている馬車の中を見回した。
「ここが大浴場だよ」
石作りの大きな浴場に案内をされた春火。エリオンの方をむいて、ニヤリと笑いながら言う。
「いの一番にお風呂を案内なんて……エリオン君は一体何を考えているんだい? このスケベ」
「違うよ! そんなつもりじゃあ!」
「次の所を紹介してくれるかい?」
エリオンが顔を赤くしているのを笑いながら、春火は次の場所に向かおうとした。そこに浴場のドアが開けられる。
「王子。お食事の時間でございます」
浴場の外で待っていた使用人が、浴場の中に入ってきて言ったのだ
「まだ日が高いよ」
「お昼をお召し上がりになっておられないという話でしたので、コックが作りました。不要ならば下げさせます」
「そこまでしなくていいよ」
エリオンが食事をとると言うと、春火はエリオンについていった。




