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勇ましすぎるかな

 だが今はどうだろうか? 決意を固め引き締まった表情をしているのを見ると、普段の春火とは思えなかった。

(あの春火君がこんな顔を……)

 戦いに向かう春火の顔を見て、腹の中に少しだけ熱いものを感じたエリオン。

 だが、それが始めて彼に芽生えた闘争心というものであるとは、エリオンは気づかなかった。それに、まだエリオンの体は震えていた。

 春火が外に出て馬車の扉を閉める。エリオンは、また丸まって震えだした。

「あんたが妃さんか? 体を差し出すから王子は助けてくれってか?」

 数人の盗賊は下品に笑いながら言った。

 春火はそれをまったく気にせずに、服を破く。動きにくいスカートの裾を破り、肩紐を片方千切る。

 そして、柔道のかまえをとった。

「なんだ? 温室育ちのお嬢様がやろうってのか?」

 木の棒に刃をくくりつけただけの雑な作りの槍を持った男がそう言って前に進み出てきた。

 無造作に近づいてきた男の懐に入り、春火は思いっきり投げ飛ばした。そして、倒れた男の首を極める。

 泡を吹いた男を後にして、春火は集団に向けてかまえた。

 男達を見る春火。相手はあと三人。手製だと見て分かる、簡素な武器を持っている。

 歪んだ形をした木の枝をそのまま武器として使っているような棍棒を持った男が先に出て行った。

「おおおおおぉぉぉおお!」

 自分を奮い立たせるため、大声を上げながらやってくる男を、春火は冷静に見る。

「まるで、街のチンピラだね」

 盗賊の姿をそう評した後、春火は相手の動きに合わせ、トップステップと同時に拳を振り下ろした。

 春火の拳は盗賊の眉間に直撃する。春火よりもがたいの大きい男は春火の拳に叩きふせられた。

 春火は残りの盗賊に向けて走った。一人しか姿が見えない。二手に分かれたか? それとももう一人は逃げていったか? どうにしろ、これはチャンスだ。一気に詰め寄った春火は、男の下腹部に拳を埋めた。

 春火は、その男を倒した後に、周囲を見回す。

 最後の盗賊は、エリオンのいる馬車へと向かっていた。盗賊は、エリオンの事を馬車から引きずりおろす。

 地面の上に放り出した後、盗賊はエリオンに向けて斧を振り上げた。その男の斧は手製の物ではなく本物の斧である、刃がキラリと鋭く光り、重量感のある斧がエリオンに向けて振り下ろされる。

 斧が振り下ろされる前になって、春火はエリオンの前にたちはだかった。斧の軌道に、腕を交差させてかまえる。

 斧の攻撃を、腕で受けきる事はできるだろうか? だがやるしかない。自分が動くとエリオンが死ぬ事になる。

 春火は歯を食いしばり、斧の刃が自分に向けて振り下ろされるのを見据えた。

 そこに、春火の背後に立った影から剣が伸び、斧を叩き飛ばした。

 背後を振り返ると、剣を振り切ったセラシュの姿があった。

「無謀です。腕ごと頭を叩き割られていましたよ」

 その後ろからぞろぞろと馬に乗った騎士達がやってくる。その中に馬車に乗って後ろからついてきたセラシュとリミラの姿もあった

 それから、十人以上の騎士たちがやってきて、盗賊たちを囲んでいった。

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