エリオンの成長
本陣は、持ってきた簡素なテーブル一つを、椅子で挟んでこの陣の総司令であるエリオンと、参謀であるシールズの二人だけで、作戦会議をしていた。
「敵の数は三十強。今の騎士達の数なら一ひねりの数であると推測される」
シールズがエリオンに向けて言って返事を待つ。エリオンの事を見て、彼の事を探っている。鋭い目の奥に、そのような光が見て取れた。
「攻め入ったら勝てる。だけど、攻め入ったときに問題になるだろうと思われる事は何だと思う?」
エリオンはシールズに確認をしてきた。シールズは考える。
臆病な性格のエリオンであればこその質問だろう。戦えば勝てる。だが、戦闘はただ勝てばいいというものではない。
「リミラと春火の喉に剣を突きつけて、全員に降伏を迫られようものなら、どうにもならない」
エリオンの質問に答え、シールズは説明をする。
これはリミラと春火の救出作戦である。盗賊達を逆上させて、リミラと春火を殺させてしまったら、この作戦が根本から無駄になる。
そうならないため、どのような作戦を立てるか? それを考えるのが総司令であるエリオンの役目であるのだ。
「なら、バルテ君達が帰ってきたら、すぐに速攻をかけよう。洞窟の中は、大部屋が一つだけの簡単な作りだから。奥にまで進んでしまえばこっちのものだよ」
『まあまあな答えかな……』
エリオンの考えを聞き、心の中でそう評価を下したシールズ。
「それでいこうか」
残念ながら、エリオンよりも、シールズの方が騎士達からの信頼が厚い。シールズが言ってから、騎士達は作戦にとりかかった。




