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エリオンの権

「はい」

 今の事態でいまだにキョトンとしてるシビリオスは答えた。

「さっきの騒ぎは、君がこの国に連れてきた盗賊団が起こした。そして、その騒ぎでリミラと春火くんがさらわれた」

 それで目つきを鋭くしたシビリオス。

「それならば、すぐに派兵をするべきです。彼女らの身が心配です」

「君は盗賊団のアジトの場所を知っているかい?」

「場所は山の中腹にある天然の洞窟を使っています。中の広さは……」

 そこまで言ったら、エリオンは手を前に出した。

「そんなふうに口でごちゃごちゃ言われても分からないんだよ。場所も知っていて、内部の構造も知っているなら、同行して先導を頼みたい」

「しかし、私はもう捕囚の身です。今になってあなた達を肩を並べようとは……」

 そこまで言ったら、エリオンはまた手を前に出して言葉を止めた。

「リミラの事はまだ好きかい?」

 シビリオスはつまった。

 彼は何と答えればいいか分からないようだ。彼の本心は決まっているはずだ。だが、今の状況もある。自分が彼女にやった事もある。

 それを口にしてもいいものなのだろうか? そう考えているのだ。

「本心を言うといい。状況も、過去の事も考えないで、今の気持ちだけを言ってくれ」

 エリオンが言う。それを聞いたシビリオスは、ふっ……っと絞るようにして言った。

「今でもお慕いしております……」

 そこですかさず、エリオンが言う。

「ならば、君は断頭台に命を捧げるんじゃない。騎士ならば、リミラに命を捧げるんだ」

 エリオンが言うと、牢が開けられ、シビリオスに剣と鎧が渡された。

「君の着替えが終わったらすぐに出陣をする。騎士達は至急に馬の用意をしてくれ」

 そのエリオンの姿を見て、騎士達は一斉に『了解しました!』と声を上げて準備に走っていった。

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