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盗賊の頭目
盗賊は顎に手を当てて考え出した。
「はねっかえりだ。手錠をしておいてよかった」
盗賊といえど、親玉になる人間だ。多少は頭も回るらしい。いきなり怒鳴りだすような事はせず、油断の無い目つきでじっとりと春火の事を観察した。
「言わないならそれでいい。お前達は、隣の国に売る。その後はどうなるかは知らん」
盗賊はシビリオスを通じて、いくつかの大貴族とのコネをもっているらしい。
王女と王子の妃となれば、政治的な利用価値は十分だろう。
「どうする気かはそいつ次第だがな。だがその国は近々、この国と戦争をするつもりらしい」
革新的な技師が現れ、その技師がいくつもの新兵器を発明した。銃や、爆弾の力を使い、この国に攻め入ろうと考えているのだ。
「盗賊狩りにも、その武器が投入されてな、まったく歯が立たなかった。盗賊家業も、年貢の納め時だ」
この盗賊達は、大きな金を手に入れて、盗賊から足を洗うつもりらしい。
「下手に暴れなければ危害は加えない。おとなしくしていろ」
春火達に背を向けた男は、そのまま去っていった。




