盗賊のアジト
天然の洞窟まで連れて来られたリミラと春火。
深さが三十メートルある意外に長い洞窟で、天井までの高さは三メートルほどある。
だが奥のほうに行けば、天井は低く横幅も狭くなっていく。
際奥に鉄格子を取り付け、そこを牢として使っている。
牢の中にいるのは春火とリミラである。
春火は後ろ手に手錠をされている。
「油断をしていたが、ずいぶんやってくれたな」
盗賊に囲まれたときに、抵抗をした春火だが、四人がかりではどうにもならなかった。
すぐにリミラを組み伏せられ、リミラの喉元に石のナイフを突きつけられて終わったものだ。
「俺達の仲間をやってくれたのもお前らしいな。この国には珍しい黒髪に黒瞳。身長は並より低い。あいつの言ったとおりだ」
春火の事を見ながら言うのは、この盗賊のボス格らしい。
盗賊のボスというのが見ただけでわかるような大柄の男だった。
「お前らはこの国の妃と王女なんだってな。高く売れそうだ」
そういうが、ボス格の男は嬉しそうな様子ではなかった。
むしろ、何かにあせっているようである。
「この国に金は持っているが格の高くない貴族はいるか?」
リミラに向けて聞いてきたのだ。だが、春火がリミラと盗賊の間に立った。
「リミラ様と話をする時は僕を通してくれないかい? 下賤の人間が、直接王族様と会話ができるとは思わないことだ」
「俺達はお前に用などないし、言葉を聞く気もない。俺達にお前の許しなど必要ないんだ」
「必要なくても、僕が許すって事はないよ」




