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12話 神、遊びの時間

夜の森。


 ダンジョンの入口の前。


 ルクスと転生者の少年は向かい合っていた。


 静かだった。


 だが。


 空気は張り詰めている。


 転生者の少年は額に汗を浮かべていた。


(なんだこいつ……)


 ただの子供。


 なのに。


 体が警告している。


 近づくな。


 ルクスは楽しそうだった。


「ねえ」


「名前は?」


 少年は黙っていたが、やがて言った。


「……カイル」


「へえ」


 ルクスは笑う。


「僕はルクス」


 カイルは苛立った。


「自己紹介してる場合かよ」


 黒い魔力が溢れ出す。


「お前」


「俺の邪魔する気だろ」


 ルクスは首をかしげる。


「うーん」


「観光的に言うと」


「ちょっと景観壊してるかな」


「は?」


 カイルの眉が跳ね上がる。


「ダンジョンは面白いけど」


「村壊れるのは困るし」


 ルクスは軽く言った。


「だから」


「止めに来た」


 カイルの顔が歪む。


「ガキが……!」


 黒い魔法陣が広がる。


「舐めるなよ!」


 地面から黒い手が伸びる。


 影魔法。


 カイルのチート能力。


「影縛り!」


 影がルクスの足に絡みつく。


 普通の人間なら。


 一瞬で動けなくなる魔法。


 だが。


 ルクスは動かなかった。


 いや。


 動く必要がなかった。


「へえ」


 ルクスは感心した。


「面白い魔法」


 そして。


 影が――


 消えた。


 カイルの目が見開く。


「は?」


 魔法が解除された。


 詠唱もなく。


 抵抗もなく。


 ただ――


 存在が消えた。


 ルクスが言う。


「でも」


「ちょっと雑だね」


 カイルの背筋に寒気が走る。


(なんだ今の)


(魔法を……消した?)


 その時。


 ルクスが一歩踏み出した。


 カイルが慌てて後退する。


「来るな!」


 今度は巨大な魔法陣。


「影槍!」


 黒い槍が十本飛ぶ。


 木を貫く威力。


 だが。


 ルクスはそれを見て。


 ただ指を動かした。


 パチン。


 軽い音。


 その瞬間。


 影の槍が全部――


 砂になった。


「なっ……」


 カイルは言葉を失う。


 ありえない。


 魔法を壊した?


 いや違う。


 魔法を分解された。


 ルクスは笑っていた。


「君」


「魔法の才能はあるね」


 カイルの手が震える。


(勝てない)


(なんだこいつ)


 だが。


 プライドが邪魔した。


「くそが!」


 カイルが叫ぶ。


「舐めんな!!」


 黒い魔力が爆発する。


 森が揺れる。


「影魔法奥義!」


「影王召喚!」


 地面が裂ける。


 巨大な影が現れた。


 高さ五メートル。


 黒い巨人。


 ダンジョンの魔物すら食う怪物。


 カイルが叫ぶ。


「殺せ!」


 影の巨人がルクスに拳を振り下ろす。


 森が砕ける威力。


 だが。


 ルクスは少し考えていた。


(うーん)


(壊すと森が消えるな)


 少し困る。


 なので。


 ルクスは手を伸ばした。


 影の巨人の拳に触れる。


 そして。


 小さく言った。


「戻れ」


 その瞬間。


 影の巨人が――


 消えた。


 完全に。


 跡形もなく。


 カイルは膝をついた。


「……は?」


 理解できない。


 何が起きた?


 ルクスは首をかしげる。


「もう終わり?」


 カイルは震えていた。


 その時。


 ルクスの後ろで空間が揺れる。


 離れて見ていた神の青年が現れた。


『やりすぎ』


 ルクスは笑った。


「遊びだよ」


 カイルは震える声で聞いた。


「お前……」


「何者だ」


 ルクスは少し考えて。


 そして言った。


「観光客」


 カイルが叫ぶ。


「ふざけるな!」


 だが。


 神の青年がため息をついた。


「まあ、嘘ではないけどね」


 カイルの顔が青くなる。


「……神?」


 無意識に数分前の言葉を繰り返す。


 青年は軽く手を振った。


「僕はね、この世界の管理者」


 カイルは絶句した。


 だが。


 次の言葉で世界が変わる。


 青年はルクスを指さした。


「で」


「こっちは、別の世界の神」


 カイルの思考が止まった。


 ルクスは笑う。


「よろしく」


 その時。


 ダンジョンが震えた。


 ゴゴゴゴ……


 地面が揺れる。


 神の青年が顔をしかめた。


「あー、これまずい」


 ルクスが聞く。


「なに?」


 青年は苦笑した。


「君たちが暴れたせいで」


 ダンジョンが割れた。


 次の瞬間。


 洞窟の奥から――


 巨大な魔力が溢れた。


 ルクスの目が輝く。


「お」


「ボス?」


 洞窟の奥から声が響く。


 咆哮。


 森が震える。


 そして現れた。


 竜。


 黒い鱗の巨大なドラゴン。


 カイルが震える。


「……嘘だろ」


 神の青年が言った。


「ダンジョンボス、古竜クラス」


 ルクスは笑っていた。


「いいね、観光っぽい」


 そして一歩前に出る。


「ちょっと…、本気出すか」


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