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初恋づくし  作者: しょぼん(´・ω・`)
第六章:夢の国には何がある?

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第十四話:マジックアワー

 観覧車を楽しんだ後。

 六人はその足でバトルエリアにある『ガンナーズ・ハイ』を楽しんだ。

 それぞれが好きな銃を選び、巨大な画面に映った戦場で、迫り来る敵兵を撃つガンシューティング。


 ここではゲーム好きな香純かすみあおいが、互いに連射性の高いアサルトライフルを手に見事な銃撃を魅せていたのだが。

 初めてこの手のゲームを堪能した椿は、子供のようにきゃーきゃー言いながらハンドガンを乱れ撃ち。ゲームを終えた時には恍惚とした表情で、


「気持ち、よかったです……」


 と、肌を上気させて口にしたのを見た時には、皆がその魅惑的な表情にドキリとさせられたりもした。


 夕方にはトラベルエリアに戻ると、街中にあるお土産コーナーを皆で覗いていた。


「やっぱネズミー可愛い〜!」

日向ひなたは本当に好きだよね」


 この遊園地のマスコット、ネズミーマウスのぬいぐるみを手にしてにんまりする日向ひなたを楽しそうに見る萌絵に。


「こちらも可愛いと思いませんか?」

「妹のミミーマウスですね。真行寺先輩もこういうの好きなんですか?」

「はい! 可愛らしい物に目がないのです」

「私もミミーちゃん好きなんですよ。このもふもふ感堪らないですよね!」


 椿が微笑みながらミミーマウスのぬいぐみるみを手に取る姿に、意気投合する香純かすみ


「ミミーも良いよね〜。やっぱり兄妹きょうだいペアで並べて置こうかな〜」

「それありだと思いますよ!」

わたくしもそうします!」

「私はこっちのガラス細工のにしよっかな」

「萌絵ってインテリアっぽいの好きだもんね〜」

「確かにそちらもお綺麗ですね!」


 学年差も、付き合いの長さも関係なく、和気藹々と買い物を楽しむ女性陣を遠巻きに見ながら、二人はまるで保護者のように笑っていた。


「本当に女子ってこういうの好きだよなぁ」

「そりゃ可愛いからね。諒は何か買わないの?」

「うーん。あんまり。あおいは?」

「親にお菓子位買おうかと思うんだけど」

「あ、確かにそれ位は買わないとな。ちょっと見てくるか?」

「そうだね」


 二人もまた、同じショップ内のお菓子コーナーに向かうと、あれやこれやとお土産を物色し始める。

 ふと遠間に二人の姿を見た椿が、


「あのお二人、絵になりますよね……」


 と、何処か惚けた顔をすれば。


「確かに、格好良いですよね」

「うん。そう思う」

「そりゃ、学年一のイケメンに、このメンバーの一番人気だしね〜」


 と、他の三人もはっきりと同意する。

 ただ、その視線の殆どは諒に向けられていたのだが。


*****


 こうして、各々に買い物を済ませた六人は、最後に同じエリアにある写真館を訪ねた。

 ここでは有償ではあるが、同エリアの好きな所で記念写真を撮ってもらえるサービスをしているのだ。


 ここで撮影の依頼をし、カメラマンの準備も整い、後は撮影ポイント選ぶだけ。


「この時間だと、夕日が入ると素敵じゃないですか?」

「でも逆光になっちゃわないかな?」


 香純かすみの意見に、そんなことが気になった諒がカメラマンの男性に顔を向ける。


「勿論フラッシュを焚きますが、マジックアワーを狙って撮影するなら、敢えて逆光になるのも素敵だと思いますよ」

「マジックアワー?」

「夕日が丁度沈む直前位の薄暗い空の事だよ。魔法みたいな芸術感ある写真が撮れるから名付けられたんだったかな?」


 日向ひなたが首を傾げると、あおいがそんな解説を付け加えてくれる。


「うわぁ、それいいね! だったら急いで場所決めないと!」

「このエリアだったら、やっぱり街中が良いかもだけど、どの辺が良いのかな?」


 確かに時間はないのだが、写真撮影となると良い場所がぱっと思い付かない。

 日向と萌絵が頭を捻らせていると。


「あの、カメラマン様。何処かお薦めいただけそうな場所などございますか?」


 こういう時にはプロに任せるべきと判断した椿が、迷いなく男性に尋ねてみる。

 すると、彼は少し考えた後。


「そうですね。では、私のお薦めの場所にご案内しますよ」


 そう言って笑みを浮かべた。


*****


 そこは、トラベルエリアにある街並みを階段で少し上がった先にある公園だった。

 そこは園内でも丁度隅の方なのだが、少し高台となっているため、夕日をバックにトラベルエリアが一望できる場所でもあった。


 丁度夕日も随分と街並みに近づいており、そろそろ日没が近い。


「では皆さん、そこにお並びください。折角の想い出です。楽しくポーズなど撮って頂いても良いですよ」


 街を一望できる高台の柵の前に、彼等は軽く相談した後に並んだ。

 中央に日向ひなた香純かすみがしゃがみ、その後ろに諒と萌絵が立ち。更に諒の脇に椿が。萌絵の脇にあおいが立つ。


「連続で数枚撮影しますので、良いというまでそのままでお願いしまーす。ではいきますよ。はい、チーズ!」


 定番の掛け声に合わせて、ある者は笑みを浮かべ。ある者は決めポーズを撮り。カメラマンがそんな彼等を写真に収めていく。

 何枚かはフラッシュを焚かず。後の数枚はフラッシュを焚いて撮影した後。


「はい、OKでーす! 三十分程で仕上がりますので、後で写真館にお寄りください。折角なので皆様は是非、振り返ってマジックアワーを堪能してくださいね!」


 そう言って笑顔で去っていくカメラマンに頭を下げた後、皆は改めて高台で横一列になり、夕日を見た。


「へ〜。これがマジックアワー……」

「確かに、魔法みたいですね」

「本当に綺麗……」

「とても素敵ですね……」


 優しく吹いた風に髪を靡かせながら、女性陣が感嘆の声をあげるのも仕方ない。


 西洋風の街は、夕日で輝くやや温かみを感じる金色の空に対し、シルエットのように暗く見え。しかしそれらの建物に灯された灯りが、地上の星のように暗がりに輝いている。

 とても幻想的で、夢心地にも感じる光景だった。


 景色に目を奪われていく内に、夕日は街並みの向こうに消えるに連れ、金色だった空も夕焼け空らしい色となり。そのまま少しずつ、暗がりで紫に染まり、黒に変わっていき、地上の星達の輝きがより際立っていく。


「この時間の空って、本当に綺麗だよね」

「確かに。写真もどんな風に仕上がっているか気になるね」

 

 あおいと諒もそんな事を語りながら、視線は景色に向けたまま。


 結局。六人は空に星が瞬き始めるまで、暫くその場を動く事なく、声も発さず。

 今日という日を想い出として、心に刻み込むのだった。

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