9話『なるほど、一理ある』
「なるほど、一理ある」
カインの主張にアオイは、納得したので、前を歩くパパンの服の裾を引っ張る。
今は、手を繋いでカインを一人で後ろにするのも悪いし、良い人そうだけど、確信はないので、安全の為にも、パパンの服の裾を迷子紐代わりに持って、アオイは、パパンの後ろを馬から降りて、手綱を引いて歩くカインと並んで歩いていた。
「パパン、渡していい?」
『…』
アオイの問いに、無言でパパンは、麻袋を差し出す。
「いいって!」
その袋を受け取ってアオイは、カインに笑いかける。
「おおお…、でもなぁ…」
「人の好意は、喜んで受け取って貰えた方が渡す方も嬉しいな!」
「そう言われると何も言えねぇな…。ありがとうございます。パパンさん、お嬢ちゃん」
「どういたしまして!」
そんなことを話しながら森を歩いていると、ついに遠目に街道が見えた。
「あっ!!街道あったよ!」
「おお!!ありがとう!お嬢ちゃん、パパンさん!!」
嬉しそうな声を上げるカインに、アオイは、満足気に頷く。
「そうだ。良ければ、一緒に街に行きませんか?」
「街?」
「ええ、随分この辺りの地理に詳しいことを踏まえて、旅の方ではないでしょう?
行くあてがないのでしたら、私のもとで働きませんか?」
「ん〜」
街か〜、興味がないわけじゃないんだよな。とは、思いつつも、街に行くには、いくつか問題があった。
そう…、
「税金は、何公何民?」
「え…、」
「聞こえなかった??
税金は、何公何民?あと、労働時間は??」
「税、金…?」
「そう。もしかしてないの?」
「ありますよ!そうですね…、三公七民くらいでしょうか…。労働時間は、日の出と日の入りを基準にしてるので、季節によって違いますが、平均すると1日10時間くらいになるでしょうね」
「なるほど、素敵」
「それなら」「だが断る!!」
「何故!?!?素敵って言ったのに!?」
「比較的に良心的だと思うけど、税金は1割以上お断り!!労働時間も8時間以上お断り!!なので、却下!!」
「無茶振りが酷い!!パパンさん!!お宅のお嬢さん、凄いこと言い出してますが!?!!」
『…』
「パパンは、絶対的な私の味方だから!!」
(ネクロマンサーだからね!!)
「くっ!!」
(父親ってやつは、娘に甘い!!)